Lv2 イシュラナの洗礼
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うかなのじゃ。で、どうじゃった? 上手くいったならば、得られた呪文が思い浮かぶはずじゃ」
「ちょ、ちょっと待ってください。今、頭の中を整理します」
俺はそこで洗礼の時の事を深く思い返す。
あの時聞こえた女性の声……。
瞼を開いた直後に起きた、あの出来事。
そう……あの時、懐かしいモノが俺の脳内に流れ込んできたのだ。
するとその懐かしいモノが、次第に何かの言葉に変わってゆく。
そして次の瞬間。
(こ、これは……もしかして……呪文か?)
なんと、思い返してゆくうちに、俺のよく知っている二つ呪文と知らない呪文が一つ、合計三つの呪文が俺の頭の中に浮かび上がってきたのである。
それは不思議な感じであった。
何故かはわからないが、俺の中に、呪文が刻み込まれているかのように感じられたのである。
「あの、ヴァロムさん……不思議なんですけど、俺の中に刻み込まれたような言葉が三つあるんです。もしかして、これが使える呪文なのですか?」
するとヴァロムさんは微笑んだ。
「ほう、第一の洗礼で複数の魔法を得られたのか。もしそれが本当ならば、お主には魔法を扱う才があるかもしれぬの」
「え? そうなんですか?」
「うむ。魔法の才に恵まれた者は、複数の呪文を授かる事が多いからの。まぁそれはそうと、まずは本当に使えるかどうかの確認をせねばならぬ。というわけでコータローよ、早速じゃが、外へ行き、儂に見せてみよ」
「は、はい」――
外に出た俺達は、洞穴の入口付近にある、やや開けた場所へと移動した。
そこは岩以外何もないところで、思う存分魔法を使っても問題なさそうなところであった。
「ではコータローよ。まず、あの岩に向かって利き腕を伸ばすのじゃ。そして指先に意識を向かわせよ」
ヴァロムさんはそう言って、適当な大きさの岩を指さした。
「はい、ではやってみます」
俺は右手を真っ直ぐ前に伸ばして、指先に意識を集中させる。
すると不思議な事に、俺の中の何かが指先に向かって流れる感じがしたのだ。
(なんだこの感じ……もしかして、これが魔力の流れというやつなんだろうか?)
とりあえず、訊いてみる事にした。
「あの、ヴァロムさん。指先へと向かって何かが流れてゆく感じがします……これは一体……」
「ほう、もうそこまで感じられるのか……。儂が思ったよりも、お主は優秀かもしれぬな。今から魔力の流れについて簡単に説明しようかと思ったが、そこまでわかるのなら、もういいじゃろう」
ヴァロムさんは顎鬚を撫でながら、少し感心していた。
(もしかすると、俺は魔法使い系の才能があるのかも……大魔導師コータロー or 賢者コータロー……なんて甘美な響き……)
などとアホな妄想を考える中、ヴァロムさんは続ける。
「よし、ならば後は、そ
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