Lv2 イシュラナの洗礼
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る。
これは不思議な現象であった。
現実の俺は目を閉じている筈なのに、目の前には白い光の世界が広がっているのだ。
今までの人生でなかった経験である。
そういえばヴァロムさんは言っていた。
この洗礼は魂の目覚めを促すモノと……。
ならば、これは俺の魂が見ている光景なのかもしれない。
そう考えると、この現象にも少し納得が行くのだ。
不思議だが、とりあえず、そう思う事にしよう。
俺は光の世界を見回す。
周囲を埋め尽くしたこの白い光は、穏やかな海のように静かに波うっていた。
その為、俺自身が光の海の中をユラユラと漂っているかのようであった。
しかも、何故か分からないが、妙なリラクゼーション効果もあるのだ。
というわけで、あまりにも気持ちが落ち着くことから、俺はこの浮遊感と光の海を少し堪能する事にしたのである。
日々の疲れが癒される気がする。ああ〜気持ちいい。
もういっその事、このまま寝てしまおうか?
などと考えた、その時だった。
優しそうな女性の声が脳内に響き渡ったのである。
――頭上に見える光に向かって進みなさい。
光?
俺は頭上に視線を向ける。
すると、眩いばかりの光源がそこにあった。
あそこから光が発せられているのは分かるが、この光の正体は一体何なのだろう?
まさか照明器具で照らしているなんてことはないとは思うが……。
気になった俺は、声の指示通りに、頭上の光源へと向かって進む事にした。
水の中を泳ぐように、俺は手と足を使って浮上する。
そして光源の付近に来たところで、またさっきの声が聞こえてきたのである。
――さぁここで貴方自身の瞼を開くのです。
――その先に見えるものが貴方の進む道標。
――それが貴方と我等の希望。
――さぁ立ち上がりなさい。
――そして恐れず前に進むのです。
貴方自身の瞼を開く?
どういう意味だ、一体……。
もしかして、現実世界にいる俺自身の瞼を開けという事なのだろうか。
まぁ俺自身の瞼と言っているから、多分そうなのだろう。
というわけで、俺は言葉にしたがい瞼を開く事にした。
ゆっくりと、俺は瞼を開いてゆく。
そして、完全に瞼が上がった、次の瞬間!
俺の目の前が弾けたように、閃光の如く光輝いたのである。
またそれと共に、俺の中にも異変が現れたのだ。
それはまるで、頭の中に、何かがドッと流れ込んでくるような感じであった。
上手く言えないが、それは決して嫌な感じのモノではなかった。
それどころか、どこか懐かしい感じがするモノであった。
何だろう……これは一体。
俺はその異変に身を任せようとした。
だが、その直後、周囲は突如真っ暗になり、俺
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ