Lv2 イシュラナの洗礼
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翌日、俺はイシュラナの洗礼を受ける為、付近にある別の洞穴へと案内された。
そこは俺達が生活する洞穴よりも、やや小さめの空間であった。
床の真ん中に丸い魔法陣が描かれている以外、ただの洞穴といった感じで、他に特筆すべきものはない所である。
これを見る限りだと、恐らく、ヴァロムさんも初めて使う場所なのかもしれない。
魔法陣の両脇には金属製の燭台が2つあり、そこには炎が揺らめく松明が置かれていた。
この不規則に揺れる明かりの所為か、洞穴内部が不気味で陰鬱な世界のように俺には見える。
多分、松明から発せられる焦げた嫌な臭いがこの空洞内に充満しているので、余計にそう見えるのだろう。
まぁそれはともかくだ。
洞穴に入った俺は、ヴァロムさんに魔法陣の前へと案内される。
俺はそこで一旦立ち止まり、岩の床に描かれた魔法陣に目を凝らした。
魔法陣は、大きな円の内側に奇妙な文字や模様があるという様式で、ファンタジー系のアニメや映画に出てきそうな代物であった。
それらは全て白い色で描かれており、この薄暗い洞穴の中では、一際、存在感を放っている。
また見たところ、かなり複雑な魔法陣に見えるので、これを描いたヴァロムさんも結構大変だったに違いない。
ふとそんな事を考えていると、ヴァロムさんの声が聞こえてきた。
「ではコータローよ。今よりイシュラナ第一の洗礼を始める。この魔法陣の中に入り、静かに腰を下ろすのだ」
「はい」
俺は言われた通り、魔法陣の中に入る。
そして魔法陣の中心で腰を下ろし、禅を組んだ。
俺は次の指示を待つ。
「コータローよ。背筋を伸ばして目を閉じよ。そして深呼吸を静かに繰り返し、まず心を穏やかにするのじゃ」
「はい」
俺は言われた通りに目を閉じて深呼吸をして、心を落ち着かせる。
何回か深呼吸を繰り返したところで、ヴァロムさんの声が聞こえてきた。
「ふむ、そろそろ始めようかの。では今から魔法陣を発動させる。じゃが、その前に一つ言っておくことがある。……昨晩も言うたが、この洗礼は肉体的な事ではなく、魂の目覚めを促すものじゃ。言うなれば、これは魂の洗礼。まずはそれをしっかりと認識するのじゃぞ。上手くゆけば、お主は呪文を得られるであろう。ではゆくぞ」
俺は目を閉じたまま無言で頷く。
するとその直後、「ムン!」というヴァロムさんの掛け声が聞こえてきたのであった。
掛け声が聞こえてから10秒程経過したところで、俺の中に変化が現れた。
なんと、身体が宙に浮かんだような感覚が突如現れたのである。
それはまるで無重力を体験しているような感じであった。
いや、それだけじゃない。
浮遊感と共に、俺の周囲は、神々しいほどの白く美しい光で埋め尽くされたのであ
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