第一章 竜を探求する世界より、愛を込めて
Lv1 目覚めの地
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深い闇の中を俺は彷徨っていた。四方を見渡しても、人や建物や大地、そして空などは見当たらない。あるのは、どこまで続いてるのか分からないほどの先が見えない深い闇の世界であった。
ここは一体どこなのだろう?
いや、それよりも、俺はこんな所で何をしているのだろうか?
ふとそんな事を考えた時だった。
何者かの声が、俺の脳内に響き渡ってきたのである。
【おいッ、大丈夫か! しっかりしろッ!】
聞こえてきたのは低く太い男の声だった。
しかも、なにやら、えらく慌てたような感じだ。
近くで何かあったのだろうか? などと考えた次の瞬間、突如、俺の身体が左右に揺れ、パチン、パチン、と頬を引っ叩かれたような痛みが走ったのだ。
そしてまた、あの声が聞こえてきたのである。
【おいッ、しっかりしろッ!】
どうやらこの声は、俺に向かって掛けられているようだ。
と、それに気付いた時であった。
周囲の深い闇が消え去り、仄かな光を灯した世界になったのである。
俺はそこで、自分の現状を認識した。
またそれと共に、俺は深い闇の世界から、ようやく脱出する事が出来たのである。
どうやら俺は眠っていたようだ。
ゆっくりと瞼を開くと、見た事もない年経た男の顔がそこにあった。
見た感じだと、70歳は優に超えていそうな老人である。
映画ロード・オブ・ザ・リングに出てきたガンダルフという魔法使い並みの、白く長い髪と顎鬚が特徴の男で、やや日に焼けた浅黒い肌には、幾つかの皺が刻み込まれていた。
また、茶色いローブの様なモノを身に纏っており、どことなくスターウォ○ズに出てきたジェダイを思わせるような格好であった。
だが俺は格好よりも、男の顔つきに違和感を覚えた。
なぜなら、この男の顔つきが日本人ではなく、中東地域の人間を思わせるモノだったからだ。
知らない外人の爺さん。それが俺の第一印象であった。
「おお、目が覚めたか」
この爺さんはそう言うと、ホッと安堵の息を吐いた。
俺はそこで仰向けになった体を起こす。
空に目を向けると、雲一つない青空が広がっていた。
そこには容赦なく照りつける太陽が燦然と輝いている。まるで真夏の日差しといった感じだ。
おまけに風も吹いてないので、周囲にはカラッとした熱い空気が、停滞するように漂っている。
そして気が付けば、俺自身も汗だくになっていた。
重力にしたがって、大粒の汗が額から頬に伝ってくる。
だがそこで、俺はまたもや違和感を覚えたのであった。
なぜなら、今の時期の日本は、まだ5月。こんな糞暑い気候ではないからだ。
俺は滴る汗を手で拭いながら、次に周囲を見回す。が、しかし……。
俺の視界に入ってきたのは、俄かに
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