第一章 竜を探求する世界より、愛を込めて
Lv1 目覚めの地
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イシュラナの洗礼を受けてみます」
「うむ。なら明日までに洗礼の段取りをしておこう」
「あ、それと、もう一つ訊いていいですか?」
「何じゃ?」
「先程からヴァロムさんの話の中で、イシュマリアとかイシュラナとかいう似たような単語が出てくるのですが、それは何の名前なんですか?」
するとヴァロムさんは苦笑いを浮かべた。
「今までのお主を見ている限り、その質問はしてくるじゃろうと思っておったわ」
「はは……ですよね。お互い話が噛み合わないですし……」
俺は苦笑いを浮かべながら、後頭部をかいた。
「まぁよいわ。さて……まずイシュラナだが、この名は、この地の民が信仰する光の女神の名前じゃ」
「ああ、神様の名前なんですか。なるほど」
「うむ。それとイシュマリアじゃが、これはイシュラナがこの地に使わしたとされる御子の名前じゃ。そして我等の国の名前でもあるのじゃよ」
「御子……国名……」
よく分からんが、話の流れから察するに、このイシュマリアという御子は、俺達のところでいうイエス・キリストの様なものなのかもしれない。
「ふむ、そうじゃな……お主は知らぬじゃろうから、簡単にイシュマリアの伝承を話そうかの」
少し間を空けてからヴァロムさんは話し始めた。
「……遥かな昔、破壊の化身ラルゴという化け物が猛威を振るい、この地で破壊の限りを尽くしておったと云われておる。山や大地は業火に焼かれ、海は荒狂い、空は暴風が吹き荒れる。この大地に住まう多くの生きとし生ける命が、ラルゴによって奪われたそうじゃ。じゃが、それを見かねた光の女神イシュラナは破壊の化身ラルゴを倒すべく、自らの力を分け与えた戦士を地上に使わしたのじゃ。その戦士がイシュマリアであった。そしてイシュマリアはラルゴを見事に倒し、この地に平和をもたらしたと云われておるのだ」
俺は思った。
この設定って、モロにファンタジーRPGやん、と。
要するに、神に使わされた御子であるイシュマリアという勇者が、その化け物を倒したという事なのだろう。
あまりにありふれた捻りも何もない展開である。
まぁそれはさておき、馬鹿にするのもよくないので、一応驚いておくとしよう。
「そ、そうだったんですか……。なんか色々とすごい話ですね……」
「じゃが、この話には続きがあっての」
「続き?」
「うむ。実はの、ラルゴを倒したイシュマリアは、イシュラナの元には帰らずに、そのまま地上に残ったのじゃ。日が経つにつれ、ラルゴを倒したイシュマリアの元には大勢の人々が集まるようになった。そして、いつしか人々は、イシュマリアを救世の王として崇め始めたのじゃ。こうして光の御子が治めるイシュマリアという国が誕生したのじゃよ」
宗教国家あるある、みたいな感じだ。
「なるほど。ン? という事は、この国の王様って、
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