第一章 竜を探求する世界より、愛を込めて
Lv1 目覚めの地
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「ああ、そうじゃ。儂は魔法を使えるからの」
「……やっぱりそうなんですか。では他に、どんな魔法があるのですか?」
「ン、他か? まぁ、色々とあるの。そうじゃ、コータローよ。さきほど転んで擦りむいた腕を見せてみろ」
「あ、はい」
俺は擦り傷がある腕をテーブルの上に置いた。
ヴァロムさんは傷の前に右手をかざし、「ホイミ」と呪文を唱えた。
すると次の瞬間、ヴァロムさんの手が仄かに光る。
そしてなんと、擦り傷は見る見る治癒してゆき、あっと言う間に元の皮膚へと戻ったのである。
俺はこの効果を目の当たりにし、素で驚いた。
(間違いない……これは回復魔法のホイミだ。しかも、初歩の魔法とはいえ、ここまで回復するなんて……)
ホイミの効果に目を奪われたが、今ので俺は、この世界がドラクエの世界かもしれないという事を、確信にも似た気持ちで受け止めたのだった。
「まぁこんなとこかの。勿論、他にもたくさんあるが、それはお主自身の目で、これから確かめるがよかろう」
「へぇ、すごいですね。ところで、これって俺みたいな素人でも使えるんですか?」
するとヴァロムさんは、ここで思案顔になったのである。
(俺には使えないという事なのだろうか……)
暫くするとヴァロムさんは口を開いた。
「お主のその言い様じゃと、知らぬようだから言うが……魔法はな、イシュラナの洗礼を受けてみねば、その才が見えぬのじゃよ」
(は? イシュラナの洗礼? なんだそれ……ドラクエって確か、Lvが上がれば魔法は勝手に覚えていくというシステムじゃなかったっけか。いやもしかすると、今いるこの世界は、俺がやった事のないシリーズなのかもしれない。事実、俺はT〜[までしか、ドラクエはやった事ないし……)
やってない外伝シリーズも多いので、それらのどれかという可能性はあるのだ。
まぁそれはさておき、とりあえず、話を進めよう。
「じゃあ、その洗礼というのを受ければ、俺にも魔法が使えるかどうか分かるという事ですね」
「そうじゃの。お主も魔法が使える様になりたいのなら、イシュラナの洗礼をうけるしかないの。なんじゃったら、明日にでもやってみるか?」
ヴァロムさんの口から意外な言葉が出てきたので、俺はやや戸惑った。
「へ? そんな簡単にできるもんなんですか?」
「ああ。イシュラナの洗礼は、今のところ分かっておるだけで三つあるんじゃが、まず最初にする第一の洗礼は、魔法陣の中で瞑想するだけのものじゃから、それほど手間はかからぬ」
話を聞く限りだと、かなり簡単に聞こえた。
これなら俺にもできそうだ。
それに、ドラクエの魔法を実際に使えるのなら使ってみたいという気持ちもある。
というわけで、俺はお願いしたのである。
「じゃ、じゃあ、お願いします。何事も経験なので、
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