第一章 竜を探求する世界より、愛を込めて
Lv1 目覚めの地
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、そういうわけじゃないんですけど……」
(さて、どう答えたもんか……はぁ……何も言葉が見つからん……)
俺が返答に悩む中、ヴァロムさんは続ける。
「このベルナ峡谷はな、イシュマリア国の最南端に位置しておる辺境の地域じゃ。故に、この地に住んでおる者など、極少数。あとは魔物しかおらぬ。それにお主のその格好……それは、凶悪な魔物が住むこのベルナ峡谷では、あまりに不釣り合いな格好なのじゃ。だから、あそこで何をしておったのかが気になるのじゃよ」
イシュマリアのくだり部分がよく分からないが、とりあえず、ここで俺みたいな奴がウロウロしていることは、通常ありえないのだろう。
まぁそれは分かったが、俺自身、何故こんな所にいるのかを説明できないので返答しようがないのだ。
とはいっても、何か話さないと前に進まない気がした。
(どうしよう……昨日からの出来事を話した方が良いのだろうか……とりあえず、話してみるか……)
俺は少し迷ったが、とりあえず、話すことにしたのである。
「いや、それが実は――」
それから10分程かけて、今までの事を軽く説明をした。
俺は日本の東京という場所にいたという事。年齢は20歳で、わけあって今年大学を中退し、今の職業はフリーターであるという事。そして気が付いたらこの地にいたという事などをである。
理解できているのかどうかわからないが、ヴァロムさんは目を閉じて、静かに俺の話を聞いていた。
そして一通り説明し終えたところで、俺はヴァロムさんの言葉を待ったのである。
暫くするとヴァロムさんは口を開いた。
「……ふむ。なにやら複雑な事情がありそうだな。ところでコータローよ。今、ニホンのトウキョーという場所にいたと言ったが、このイシュマリアでは聞かぬ名だ。それは一体どの辺りにあるのだ?」
「そ、それがですね。気が付いたらこの地にいたので、どこにあるかと聞かれると俺も困るのです……」
「気が付いたら、か……。お主、さっきもそう言ったが、それは本当なのか? 嘘を言ってるのではあるまいな」
ヴァロムさんは眉間に皺をよせ、怪訝な視線を俺に投げかけてきた。
説明しておいてなんだが、このヴァロムさんの反応は予想していた通りのものだ。
こんな事を言ってすぐ信じる奴なんて、普通いないだろう。
「で、でも、本当なんですって。それに、俺もここがどこなのかさっぱりですし」
俺達の間に妙な沈黙の時間が訪れる。
この空気が嫌だったので、とりあえず、俺からも訊いてみた。
「あ、あの、一つ質問してもいいですか?」
「ああ。何じゃ?」
「アメリカとかロシアといった国の名前や、地球、もしくはアースという言葉は聞いた事がありますか?」
「ふむ……アメリカ……ロシア……チキュウ……アースのぅ。そのような国の名は、聞い
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