第一章 竜を探求する世界より、愛を込めて
Lv1 目覚めの地
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い岩の壁に覆われている為、俺達の歩く足音等がよく響いていた。
そういった所は、まさしく洞窟といった感じだ。
だが穴の中とはいえ、不思議と暗くはなかった。
よく見ると、やや歪な突起が見える岩壁の一部に穴があり、そこから外の明かりが少し射し込んでいるのだ。
その為、穴の中とはいえ、暗くて視界が悪いという事はないのである。
その他にも、この男の住処というだけあり、ここにはベッドや本棚にテーブル、そしてタンスのような生活雑貨が置かれていた。
ちなみに、それらは何れも、飾りっ気のない質素な感じの物ばかりであった。その影響もあってか、ここは、非常に生活感の滲み出ている空間となっているのである。
だが、俺はそんな事よりも、別の事に意識を向かわせていた。いや……その事を考えざるを得なかったのだ。
俺が今、考えている事……それは、男が言っていたあの化け物の名前と、それを葬った魔法のようなモノについてである。
男はあの化け物の事を「リカント」と呼んでいた。
それから男は、あの化け物を「メラミ」という言葉を発して火達磨にしたのだ。
この二つの言葉……俺の記憶に間違いなければ、ガキの頃に遊んだTVゲーム・ドラゴンクエストに出てきた固有名詞である。前者はモンスターの名前で、後者は魔法の名前だ。
最初、俺は手の込んだ悪戯かとも思った。が、どうやら、そんな生易しい言葉では片づけられない事態になっているみたいのようだ。
化け物はともかく、あの魔法はどう考えてもあり得ない。
何もない所から、あんな巨大な火の玉を作り出すなんて、悪戯でもまず不可能だからだ。
勿論、手品という可能性もあるのかもしれないが、そういった仕掛けがある気配をまるで感じられないのである。
これは夢なのだろうか……。
そう思って、俺はここに来る道中、お約束通りに頬をつねってみたが、当たり前のように頬には痛みが走った。俺は次に、幻でも見ているのかと思って、何回も目を擦ってもみた。が、しかし、見える景色は、グランドキャニオンの様なこの岩山だらけの世界なのである。
考えたくはないが、俺は今、とんでもない事になっているのかも知れない……。
またそう考えると共に、酷く陰鬱な気分になってくるのだ。
というか、何で俺はこんな所にいるのだろう。
それが今一番の疑問であった。
俺は目を覚ます前の事を思い返してみた。
昨日、俺はスーパーでバイトをして、それからアパートに帰る為、電車に乗った。
確か電車に乗った時間は、夜の10時を回ったところだったか。
この時間帯は結構電車内も人が疎らなので、俺は空いている席に適当に座った。
だがその時、バイトによる疲れの所為か、そこで瞼が重くなりウトウトとなってきたのだ。
そう、ここまでは俺も覚えてい
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