第一章
[2]次話
夜のパトロール
園前静香は犬も猫も大好きだ、とかく無類の動物好きだ。それは彼女の趣味にも出ていて。
猫のアクセサリー、髪飾りを付けている彼女を見てだ。友人達は感心した様な顔になって言った。
「いや、本当にね」
「静香ちゃん猫好きよね」
「犬も好きだけれど」
「猫が一番好きよね」
「ええ、やっぱり猫がね」
何といってもとだ、静香もクラスメイト達に答える。その猫の髪飾りを自分の手で触りながら。
「一番好きよ」
「そうよね」
「静香ちゃんは猫が一番好きよね」
「何といっても」
「猫大好きでね」
「一番よね」
「動物の中ではね、あとね」
静香は友人達にこうも話した、これまで明るかった表情が変わって怪訝するものになっていた。
「最近何か変な人いるみたいね」
「あっ、不審者ね」
「何か学校に忍び込んで悪戯してるらしいわね」
「あちこちの学校の理科室とか入って」
「それでそこを使ってね」
「どんちゃん騒ぎしたりあちこち落書きしてたりしてるらしいわね」
「若しもよ」
静香は顔を顰めさせてこうも言った。
「若しその悪戯が学校の生きものに向かったら」
「ああ、まずいわね」
「そう言う奴いるわよね」
「学校の鶏とか兎とか遊びで殺す奴」
「自分より弱い、抵抗出来ない相手だからね」
「いじめて殺すのよね」
「最低な奴よね」
クラスメイト達もそうした輩には口々に汚物を語る口調で話した、実際にこうした輩もいるのが世の中だ。
「そんなことしだしたらね」
「とんでもないから」
「早いうちに捕まって欲しいわね」
「本当にね」
「そうよね、だからね」
静香はクラスメイト達に今度は穏やかな性格の彼女が滅多にしない強い顔と声で言ってみせた。
「その不審者ね」
「早く見つけてっていうのね」
「警察に突き出す」
「そうしないとっていうのね」
「そう思ったけれど」
こう言うのだった。
「ここは」
「ううん、気持ちはわかるしね」
「何とかしないといけないのは事実だけれど」
「静香ちゃん合気道初段だけれどね」
「他の格闘技使えないし」
「それによ」
クラスメイト達は静香がどうやら不審者を見付けてやっつけて警察に突き出そうと考えていると見て止めた。
「若し不審者がナイフとか持ってたら」
「スタンガンとかね」
「一人とは限らないし」
「そうだったら危ないわよ」
「捕まったりしたら何されるか」
「かなり危ないわよ」
「ううん、じゃあどうしたらいいの?」
静香は自分の考えが否定されたと見て友人達にあらためて尋ねた。
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