俺は愛せる? 幻想郷...
吸血鬼ってこんなん?
第三十一話 可愛い可愛い相棒
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「あ、治った」
あれから数十分が経った今、八重歯の違和感はもちろん鋭い五感は元に戻り、すっきりした。
そうだ、これも前の世界で読んでいた本の話だが、吸血鬼に咬まれると吸血鬼になるという話を知っていた。つまり俺は吸血鬼になっていた、そういうことだろう。
吸血鬼に関する――というかメルヘンやファンタジーは読み漁っていたわけで、この手の話は得意だが、咬まれたらずっと吸血鬼の話もあれば、一時的なもので力が戻る話もあった。俺はその中での後者なのだろう。余談だが、この吸血鬼、この流れで行くとドーナツとか好みそうである。
「すっきりすっきり。一時はどうなるかと思った」
もちろんのこと、聞きたくなかった藍さんと橙の会話は聞こえなくなり、猫舌ゆかりんのカップラーメンを啜る音も聞こえなくなったわけだが。
目の前の彼女は治った俺が不満なのか、頬を膨らましていた、とても可愛らしい。飴ちゃんでもあげたいところだけれど、生憎持っていた飴は当の本人が全て食べてしまったのでない。明日にでも買いに行くとしよう。
相棒が吸血鬼とかいう中二病心を大いに擽ぐるこんなシチュエーションを待っていなかったわけではないが、少々リアルは衝撃が強かったわけで、実はわたくしこんな心情を語っている中でもびびっている次第です。それこそ、今後この娘に血をあげることになるのだと考えるだけでゾクッとする。しかしそれもまた、その中二病心を擽るシチュエーションに含まれるわけである。
まぁ何が言いたいかというと、割と満足しているということだ。
ところで、先程の余談を元に一つ疑問が出た。この子は血をご飯とするわけではあるが、飴を食べたわけで、そちらの栄養の補給もできるのか、はたまたそちらも必要なのか。なんだったら吸血はご飯というより、栄養補給――魔力補給になり、ご飯はご飯で必要なのか。
しかも、今回吸血されて俺の身に起こったことを考えるに、一時的に吸血鬼になったわけだが、つまり吸血鬼を共有するだけの吸血かも知れない。とも思ったが、なら今の現状この子にメリットはないので今、血をもらおうとしたことの理由がつかないのでこれは伏せておくとしよう。
とは言え、飴のフレーバーの区別はつくみたいだし、この前のやりとりからして好き嫌いもあるみたいだ。例え栄養として必要でなくとも、彼女の喜ぶ顔が見れるならご飯という"おやつ"をあげよう。藍さん直伝のメモにも書いてあったしな。メモ? そうか、メモを見よう。何の為に藍さんがあれを俺に渡したと思っている。
「そう言えば、なんでさっき俺に『好き』なんて言ったんだ?」
机の引き出しに閉まったはずのメモを取り出しながら、血を吸い終わってから今までずっと俺を凝視していた彼女にそう聞く。
見つけた四つ折り
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