止まった心、進む時間
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ために、彼をプレイヤーではなく最終ボスへとし取り除く事にした。
ライアはそれで最終ボスとなった、でも彼は自らの手で自分を殺すために『暗殺術』のスキル『オール・エンチャント』を使用した。」
「オール・エンチャント……?」
クラインさんが代表して口にする。
「自分のステータス、又は指名したプレイヤーのステータスの限界を超える所謂、最強になるスキルだよ。ただ、このスキルには弱点があって自らのHPを犠牲にした分ステータスが向上する。だから、さっきの鳳凰を後半ライア1人で倒すことが出来た。」
「ボスの残りHPを全部無くすにはライアのHP全てを使わない限り不可能だった、だから彼は犠牲するHPを全てに設定し『オール・エンチャント』を使用した。」
ストレアさんの話を聞いていた私はそんなスキルを知らなかった。
──彼が黙ってた……?
確かに私がそのスキルを知っていれば使わせる事は絶対なかった。
彼のHPと引き換えに得られる力なんて望まない。
「………ごめん……なさい……。」
私は彼に謝ることしか出来ない。
守ると誓った、一人にしないと、支えると言ったにも関わらず最後は彼に守られた。
私はただただ、謝ることしか出来なかった。
あれから数ヶ月。
今も変わらず朝はやって来ていた。
彼のいない世界なんて私は信じない。
毎日毎日彼が生きていることを願って、ナーヴギアを被る。
だが、いつも視界に映るのは真っ暗な闇。
彼はいない、目の前で死んだと告げられているかのように。
「……私、弱くなっちゃったよ蒼くん……。」
私は、もう彼のことを『あおくん』と呼ばなくなった。
そう呼んでいたのは弱かった私。
強くならなきゃいけない。
その一心で過ごしているが、正直彼のいない世界で生きる意味なんて存在しない。
そんな時、携帯に着信が入った。
──桐々谷和人──
「……キリトくん…?」
私は通話ボタンをタップして耳に近づける。
「……もしも……」
『アスナ!すぐにダイシーカフェに来てくれ!』
私の言葉を遮っていきなり要件を伝えるキリトくん。
その奥からはリーファちゃんが『お兄ちゃん、もっと落ち着いて!』と怒っている。
「えっと……キリトくん、急にどうしたの?」
私はなんとか平然を装いながら会話を続ける。
『エギルがSAO内でログアウトしたはずのプレイヤーが別のVR MMORPG内で確認したんだ!』
──え……?
「本当……なの……?」
私の声は震えていた。
ログアウトしたはずのプレイヤーが別のVR MMORPGで確認した。
と言うことは彼が生きている可能性もある。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ