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戦姫絶唱シンフォギア〜貪鎖と少女と少年と〜
第三話 嵐の中に少年は立ち
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 当然、このタイミングで(のたま)えばその視線の全てを独占する事なぞ目に見えていて。

「お、鳳さん!? どうして!? どうしてここに!?」

 響があからさまに慌ててふためくのも無視し、鳳は今回の騒動の首謀者の元まで歩いていく。だが何も言わない。代わりに調と切歌を視界に収め。

「切歌、調。また会ったな」
「あの時の……ッ!」
「セクハラ大明神デェス!」
「調! もう一度聞く。偽善が悪いか!? 何も動かず見守る優しさより、動いて何かをしようとする愚かしさがそんなに悪いのか!?」

 調が口を開こうとする前に、その様子を見守っていたマリアが一歩前に出る。

「……オーディエンスは解放したはずなのだけれどね。誰かは知らぬが去るが良い。今ならばまだ、その背に槍の穂を突き立てるような無粋はしないと誓おう」

 そう言いながらもマリアは周囲の警戒を怠らない。何せ敵装者が三人。そのどれもが今にでも飛び掛かってくる傑物揃い。そこでマリアは同じ無双の一振りを持つ少女に目をやるが、すぐに逸らした。覇気が感じられなくなっていたのだ。調に言われた言葉が原因か――そこには興味は沸かなかった。それよりも問題は目の前の少年だった。
 (くだん)の鳳はそのマリアの寛大とも取れる対応に対し、唾を吐いてやる。

「お前に用立てはない。あるのはそこの二人だ。引っ込んでいろ。それとも、空き缶でも投げつけてやらなければ退場はしないのか?」
「貴様……ッ!」

 その瞬間、鳳を刈り取るとする者が二人。

「マリアを……」
「馬鹿にするなデス!」

 二刃が襲い掛かる。そんな時にも鳳は逃げなかった。バンダナは締められ、覚悟も括った。今更泣き喚いてやるつもりはない。むしろ好都合。向こうから出向いてきたのだ。話をするのにはうってつけ。――だと言うのに、その二刃を遮る“槍”と“弓”がいた。

「お前! 何やってんだ!? 即身成仏でもお望みだってのかよ!?」
「鳳さん! ここは危険ですよ! 早く逃げてください!」
「立花、それに雪音! お前らがシンフォギア装備者だってのは今は聞かないでおいてやる! だからそこをどいてくれ! 俺はあの二人に話があるんだ!」

 その鳳の言葉を真っ向から切歌と調は切り刻む。

「私達には……無いッ!」

 響とクリスを突破し、鳳へと武器(アームドギア)を振るってくる調と切歌。せめてもの情けなのか、それぞれ刃が付いていない箇所で殴ろうとしている。
 痛みへの覚悟を決めると同時、鳳は気づいたら空中にその身を置いていた。状況を把握するや否や、彼を空中に連れ出していた主が語り掛ける。

「生身で戦場(いくさば)に現れるなど何を考えている!?」
「風鳴、お前あまりにも幅広過ぎるだろ!
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