第二話 亡霊が泣く〜後編〜
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嫌な気配を掴みとる。
「……分かっています」
アラートにはとうの昔に気づいていた。既に敵ガーリオンは自分の懐。
アサルトブレードを引き抜くモーションをメインモニターで確認しつつ、ライカは操縦桿を握る力を強める。
ガーリオン・カスタムのツインアイが妖しく光ったように見えた。
「私に近接戦を挑みますか……!」
ペダルを踏み込み、メインスラスターを最大出力まで持っていく。すると、また意識を刈り取らんと強烈なGがライカの体を襲った。
だが、今度は耐えきる。
「ゲシュペンストの機体剛性を以てすれば……!」
大質量同士がぶつかった結果、双方が大きく機体を仰け反らせることとなった。ガーリオン・カスタムの前部装甲がひしゃげていた。
甘めに見積もって、中破。こちらは堅牢な機体構造のおかげで小破以下だった。ダメージコントロールもそこそこに、ライカはすぐさまガーリオン・カスタムのコクピットへプラズマステークを叩き込む。
「…………」
敵ガーリオンの撃破を以て、この空域での戦闘が終了した。
あとは先ほど頭部を破壊したレリオンが一機離脱しようとしていただけだった。
「……さて、どこのどなたか」
そう呟きながらライカは距離が離れているレリオンをターゲットに入れた。
――その瞬間、また異常が起きた。
「な……!? また!?」
すぐに機体のコンディションチェックをし、ウィンドウを開いたライカはその内容に言葉を失う。
「『CeAFoS』起動……。シーフォス……なんの事?」
答えはすぐに返ってきた。
「何ですかこれ……!? 機体の制御が!」
両肩部スラスター下と脇下のハッチが開かれ、スラスターが現れていた。ペダルを踏んでもいないのに推力が上昇し、この機体は手負いのレリオンへ真っ直ぐ向かい始める。
だがそれで終わりではない。それ以上にマズい事態が今、起ころうとしていたのだ。
「バックラーが起動した……まずい……!」
顔に汗を浮かべながらライカは動力供給をカットしようとするが、反応はなし。ならば、と強制停止のコードを打ち込むも、まるで聞く耳を持たないようだ。
「う、わぁぁ……!!!」
いくつものイメージが脳裏に浮かんでくる。ちらちらと、まるでスライドショーのように場面が変わっていく。そのどれもが、今この状況と酷似していた。
「これは……さっきと同じ……!!」
堪らずヘルメットを脱ぎ捨ててしまった。脱いだ瞬間、氾濫しそうなイメージの海を抜け出せた。が、機体はレリオンを猛追するのを止めない。
「駄目だ――!!」
色々試したが、それでもレリオンの背部がステークに貫かれるのを止められなかった
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