ウィザード・トーナメント編 前編
雷鳴の女帝
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ひと振りのようだ。
気付けば相手は残すところ3、4人。あとひと振りもすれば完全勝利することができる。イザベルはとどめの一太刀を振るおうとしたが、それはあっさり消滅する。もちろんイザベルの魔力量が底を尽きたわけではない。第三者の干渉が原因だ。
「誰だ?」
イザベルが静かに問い掛けると3、4人のモブの後ろから明らかにオーラの違う男が現れた。男が静かに放つ殺気に周辺の空気が凍結したかのように、重くて冷たいものに変化する。
「俺か?俺は神代 維人。マーリン学園、序列10位。コイツらのヘッドだよ。」
「序列10位ともあろう者が、このような工作を用いるなどとても感心できるものではないな。」
「ハハッこれは作戦だよ。ウィザード・トーナメントにおいて不戦勝は恒例行事みたいなものだからな。とくにアンタのパートナーさんは警戒すべき相手だ。」
(マズイな...序列10位が相手では分が悪い。)
イザベルが再び雷切を発動させて神代に斬りかかろうとするが、神代の目の前で彼女の体はピクリとも動かなくなる。これが神代が序列10位になった証拠だ。
応用力の高い代償魔法は、依り代さえあれば召喚魔法も属性魔法も使うことができる。古い魔法ほど応用力に富み、新しい魔法ほど応用力が低い。
イザベルが全く動かない腕に目をやると、僅かな光によって光沢を放つ細い何かがイザベルの腕からさまざまな方向へ伸びていた。よく見るとそれは複雑に絡まるようにイザベルの腕に巻き付いている。
(これは.........。)
「アンタの戦闘スタイルはさっきから見てたよ。すべての距離に対応できる優秀な魔法だな。けどそれを使うお前は勝利に焦っている。その性なのか考えが甘くなっているように見えるが...違うか?」
神代は指一本も動かせないイザベルの目の前までやってくると、手を伸ばしてイザベルの白い頬に触れる。恐ろしい雷魔法を使うにしてはあまりにも綺麗な顔だ。
「"雷鳴の女帝"とでも称すれば良いか。綺麗な出で立ちで居やがる。本来ならもっと楽しみたいわけだが、先ほど連絡が入ってな。」
神代が端末の画面を見せると、その上を動き回る赤い点が目に写った。どうやらこの近隣を慌ただしく移動しているようだ。イザベルはそれが誠だとすぐ理解する。
「もう意味が分かっただろ。コイツに乱入されるとどうなるかは俺にも分からねぇからな。」
(間に合え.....間に合え.....!)
狭い路地裏は迷路のように行く手を阻む。真希乃が教える目的地はもう目の前と言ってもいいのに、あと少しが
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