ウィザード・トーナメント編 前編
雷鳴の女帝
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なる。
スナイパーの役割が元より敵の動きを抑制することだから遠距離の攻撃はそれと同じ効果を持つ。3距離のどれでも相手を圧倒することができれば、万に一つ勝てないとしても、時間は稼げる。
だが、その状況を打開するとしたらそれは序列10位以内の生徒たちだ。彼らに関しては常識的な考えが基本通じないと考えて良い。いっそのことなんでもできるものと思って見たほうがいいかも知れない。
思考を巡らせるイザベルを約500メートル先でスコープに捉える男がいた。敵のメンバーの一人だ。ゆっくりと息を吐きながら、自分の中を空っぽにするような感じで、無になると同時に引き金に指を掛ける。
次第に感覚が一点に集中を始め、無駄な情報を自動的に排除し始める。頬を伝う汗のもどかしい感覚も今は一切感じなくなった。
「...............っ!!」
引き金を引こうとした瞬間、突然視界が一面真っ白に染まり、一点に集中した感覚を全体に引き戻すように全身を強烈な電撃が駆け巡る。彼は自分が攻撃されたとは気付かないまま気を失う。
相手の生徒たちは遠くの距離に雷が落ちたのを確認してスナイパーがやられたことを理解する。その瞬間から相手の生徒たちがザワザワと騒ぎ出す。どうやらイザベルの狙い通りに相手に魔法を警戒させることには成功したようだ。
「ふざけんなよ。500メートルは離れてるスナイパーを倒しやがったのか......。」
「馬鹿な500メートル先なんて常人の目で見えるはずがねぇだろうがよ!」
「じゃあスナイパーとの通信が途絶えたのはどう説明するつもりなんだ!」
「分かんねぇよ!とにかく....アイツには安易に近付かないほうが良いってことだろ。」
(どうやら作戦は成功したようだ......恐らく真希乃を通じて誠兄へ連絡が来ているはず、あと数十分くらいは保たせることが可能か。)
イザベルは策を練る。ウィザード・トーナメントのことを考えると魔法のすべてを使うわけにも行かない。そこでひとつひらめくと、廃工場の電気系等から漏れる電気を自身の体に蓄積し始めた。
雷魔法が使えるイザベルにとって機械に使われる電気は外部から獲得できる武器に等しい。本来は魔力量の半分近くを消費して発動する魔法も外部からの電気の供給があれば普段の半分くらいの消費で発動できる。
「悪いが手早く済ませるため、容赦はしない。」
迸る電気がイザベルの右腕に集中し、それが手のひらに集まると閃光を放ち、何かを握るような形にするとブレード状に光が伸びる。
「雷切。」
雷が漂う閃光の刃をひと振りすれば、電撃が撒き散らされ触れた相手を麻痺させて戦闘不能にする。まるで必殺の
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