577部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその九
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第四十五話 魏延、一目惚れするのことその九
「それでは私は」
「あれっ、あの人って」
「うん、何か」
最初に気付いたのは孔明と鳳統だった。
「劉備さんが言われると」
「急に態度が変わって」
「何かあるのだ?」
張飛も薄々気付いた。
「これは」
「何ていうのでしょうか。劉備さんを見る目が」
「初対面の相手とは思えないです」
「いやいや、あれは初対面の相手のものだぞ」
だが、だった。趙雲は楽しげに話すのだった。
「明らかにな」
「どういうことだ、それは」
「意味がわからないんだけれどよ」
関羽と馬超は首を傾げさせている。
「初対面なのに熱い眼差しだと」
「それっておかしいだろ」
「あら、そうなのね」
黄忠はわかったらしく楽しげに微笑む。
「あの娘ったら劉備さんに」
「あのですね」
劉備はここで黄忠の言葉に応えて言った。
「皆さんこれからは私のことを」
「劉備さんのことを?」
「真名で呼んで下さい。私もそうさせてもらいますから」
「それでいいのね」
「はい。愛紗ちゃん達と姉妹にもなりましたし」
それもあるというのである。
「ですから」
「わかったわ。それじゃあね」
黄忠が穏やかに微笑んで頷いたのがであった。一行も劉備とお互いに真名で呼び合うことになったのだった。
そしてであった。とりあえず馬岱と女の喧嘩は起こらずに済んだ。しかしであった。
一行はとりあえず茶屋に入った。それで団子を食べるのだった。
「ふん」
「ふん」
女と馬岱は同じ席に着いてもだった。互いに顔を背け合う。馬岱のその手には団子がある。しかも五本も六本もあった。
それをまとめて食べながらだ。彼女は言うのだった。
「まあさ」
「何だ?」
女は顔を背けさせたまま馬岱に応える。
「一体」
「お団子弁償してくれたのはいいわ」
「そうか」
「それは許してあげる」
こう言う馬岱だった。彼女も同じだ。
「ただね」
「今度は何だ」
「私あんたのこと嫌いだから」
団子を食べながらの言葉である。
「それは言っておくから」
「安心しろ、私もだ」
「そうなの」
「そうだ、大嫌いだ」
「私もあんたのこと大嫌いよ」
これがお互いの言葉だった。そしてだ。
女は馬岱から顔を背けさせたままだ。自分の隣にいる劉備を見る。するとだった。
熱い目になってだ。彼女に問うのであった。
「あのですね」
「はい?」
「貴女のお名前は」
いささかおどおどとした調子で尋ねる。
「何とおっしゃるのですか」
「はい、劉備ですけれど」
劉備は女に顔を向けて答える。
「字は玄徳といいます」
「そうですか。劉備殿ですね」
「はい、そうです」
「私の名前は魏延といいます」
女の
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