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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
真・四十三話 悪の心はひたひたと
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……まあ、Xとしよう。そのミスターXはなぜなのはを襲撃する必要がある。理由は?」
「そこまで分かっているなら苦労はしない。それに理由が分かれば自ずと誰が実行犯かわかるだろうに」
「それもそうか……」
「誰なんだろう……」
「でも、許せないよね。私たちはその人の事を信頼しているのにその人はまったく信頼してなかったって事でしょ?」
「逆かもしれないぞ」
「逆って?」
「つまり確実な信頼を獲得する為に邪魔な存在である俺を排除する為に俺に化けて高町を襲った、とかな。これが一番確率が高い理由だろう」
「しかし、それだけの理由で……」
全が語った理由に対し、全員難色を示す。まあ、仕方ないだろう。それで信頼を得たとしても意味がないからだ。なぜなら将来それがバレる可能性だってあるからだ。
「何かに追い詰められた人間は何をするかわからない。人というのはそういうものだ」
「「「「「……………………」」」」」
全の言葉に誰も言葉を発せない。
その時
「なのはっ!怪我したって本当か!?」
聖が血相を変えて医務室に入ってきた。
「大丈夫だったのか!?怪我は!?」
「だ、大丈夫なの。バリアジャケットが少し破けただけだから」
「そっか、良かった…………おい、橘!」
おっ、こいつようやく橘と呼んだと全が見当違いな事を考えていたら聖が突然全の胸倉を掴んできた。
「何だ?」
「お前、何でなのはを襲撃した!?」
「………………は?」
「お、おい聖。お前、何言ってるんだ?」
「こいつがなのはを襲撃したんだろ!?ここに来るまでたくさんの局員がそう言っていたぞ!」
「違うんだ聖。あれは橘に化けた何者かの犯行だ」
「それがこいつの自作自演の可能性だってあるだろう!」
「それは、そうかもしれないが……」
聖の言葉に全員が納得しかける。確かにそうなのだ。
自身の信頼を勝ち取る為に全が自作自演を演じた。そう捉える事も出来るのである。
「それで俺に何かメリットがあるのか?」
「あるだろ!?この艦内でお前はある程度肩身が狭いからな。これを契機になのはを救った英雄とでも見られればある程度自由に動ける。それがメリットだ!!」
「そんなものをメリットなどとは言わない」
全はそう言って強引に聖の手をどけると、医務室を出ていこうとする。
「おい、まだ話は」
そう言って聖が肩に手を置こうとした瞬間
「そんなに、俺の存在が怖いのか、高宮?」
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