67.確かにそこにいた人々へ
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既にメリージアの思考回路は乙女回路が乱入してしっちゃかめっちゃかである。その顔は当然のごとく真っ赤だが、浮かぶ表情は幸福を通り越して多幸の域に達している。当たり前と言えば当たり前だが、この世で一番好きな人にやられて嬉しいことをされたら顔も蕩けるというものである。
「じゃ、俺もハグっと。今回は俺も反省してるからねー」
「!?!?」
そして、背後からアズがハグして来たことによってメリージアの思考回路がオーバーヒートした。
アズは優しいから頼めばハグくらいしてくれる人だが、アズからハグを求めてきたのはこれが初めての出来事だ。というか、2人とも初めてだ。それはつまりメリージアという存在を二人が求めてくれたという事で、2人とも今はメリージアだけを見ているということで、それでそれで――。
(ああ、もームリ。ダメダメこんな幸せ過ぎるサプライズは夢の中でも事前に申請してからしやがってくださいませ。でないと死ぬ。幸せに窒息させられて死んじゃう!こんな夢の中でも烏滸がましいような幸せサンドイッチされたらアタシ、アタシ――もう頭がフットーしてガマンできなくなっちゃうぅぅぅぅ!)
メリージアはその後数十分間、正気を失ってオーネストとアズにべったり張り付いて「にへへへ……」と幸せそうににやけていたという。
「………本当、物好きな女だ。俺なんかにそんな面見せていいのか?」
「恋に貴賎はあるまいよ。しかし……甘えん坊のネコみたいで可愛いねぇ」
「お前は猫懐かないだろ」
「いいよ、代わりにメリージアを愛でるから。ほら、喉元なでなで〜」
「んにゃぁ〜♪らめれすよアズしゃまぁ〜♪」
「………酔ってるな、何にかは分からんが」
なお、その後正気に戻ったメリージアは好きな人の前で醜態を晒した自分の行動への羞恥に耐えられなくなって丸一日自分の部屋に引きこもり、2人を困らせたのであった。彼女の部屋の前で右往左往する二人の姿は非常に和み系の光景だった――とはヴェルトールの談である。
きっとそれが、その日が、オーネスト・ライアーという男のその後を決定づけたのだろう。
アズにはそれが可笑しくて――そして、いつかまた運悪く彼の下に選択が降り注いで狂ってしまったとしても、もう大丈夫だろうと思った。
もしも、もしもその瞬間に自分がいなくとも――もう大丈夫だろうと思った。
「アズ」
「ん?」
「テメェ、何があろうが死に逃げなんて出来る思うんじゃねえぞ。あの世だろうが異世界だろうが、俺もメリージアも時空の果てまで追いかけて連れ戻してやるからな」
「……何で急に?」
「なんとなく、お前が見通しの甘いこと考えてる気がしてな」
……もしもの
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