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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
67.確かにそこにいた人々へ
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に上り詰めるきっかけになった事件が――。

「俺が10歳の頃に事はついに起こった。『地獄の三日間』――何とも陳腐な言葉だが、その三日が俺の全てを変えた。親父は俺を見捨て、ファミリアは俺の与り知らぬところで他ファミリアと抗争を繰り広げた末に壊滅。瀕死の俺を助けるために自らの生き血を捧げたテティスは、神の力を不当に使用した事を理由に拘束されて天界に強制送還された。抗争に手が出せずにおっかなびっくり動いてたギルドの手でな」
「そいつがギルド嫌いの理由か?母親を拘束したから、そして秩序の体現者の癖に役に立たなかったから、って所か」
「10歳のガキには何もかも憎く見えたのさ。張りぼての秩序を掲げて今も街を守っていますって面してるギルドは、今も気に入らない………『地獄の三日間』での混乱の事後処理で名を上げたロイマンが出世街道を駆け上がったのも、その頃だった。俺に便宜を図るのは……ま、罪滅ぼしのつもりかもな」

 遠い目で空を見るオーネスト。その横で、ファイさんがまた足りない情報を埋めてくれる。

「当時のロイマンはテティス捕縛の現場で倒れていたアキを助けようとしたの。だけど、ギルドの当時のルールでは神の捕縛条件は決まっていても、神の不当な力を与えられた存在をどうするかは取り決められていなかった。眷属なら神が送還されりゃ勝手に消えるが、よりにもよって注いだのは神血だ。前例なんぞありゃしない。責任問題や人的被害を恐れた当時のロイマンの上司が放置を決め込んだせいで、あいつは動けなかった」
「せめて保護されてれば、僕なりヘファイストスなりすぐにアキくんを迎えに行けたのに……っ」
「やめろヘスティア。俺は……運が悪かったんだ」

 ぎりり、と拳を握りしめたヘスヘスに柔らかい声で諫めたオーネストは、墓を見下ろす。

「神の血――俺の異常な再生能力と神の力の一部の行使を可能とした力の源。俺はそんなもの要らなかった……親父の裏切りで心身共にぼろぼろだった俺は、せめて最後に信じられるテティスの下で死にたかった。そこで死ねるなら寂しくなかった。しかし、結果としてテティスは俺を生かす事を選び、取り残された俺は孤独になった」
「――それから暫く、世界一の都と言われた迷宮都市オラリオは暗黒時代に入ったんだ。おおよそ3年、表面上の平静を取り戻すまで3年かかった。その3年で、アキくんは……」
「俺はオーネスト・ライアーになった。只管に運がなかった。子供だった。だから、俺は意地を張るしか能のないろくでなしの人でなしになった。お前に出くわすまで、ぶっ壊してぶっ殺して、怒り狂うだけの男だった」
「今もだいたいそんな感じじゃね?」
「だから卒業するんだよ、これから。8年の反抗期をな」

 オーネストはしゃがみ、へし折れたヘファイストスの直剣の柄を墓場に添えた。
 そ
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