67.確かにそこにいた人々へ
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、招待される形で出会っていたそうだ。人が苦労している間に何をやっているんだろうか、この男は。最終的に『魔王』と盟約を交わしたそうだが、幼女だけでなくそんなものまで抱えて大丈夫なのか、と余計な心配をしてしまう。詳しい話をオーネストは聞かなかった。どうせアズの決める事だ。黒竜と魔王が似ているかどうかなど、それこそオーネストの知ったことではないので無視した。
(ヤッバ、何度見てもあり得ないくらいイケメン………はぅあぁ〜♪ウチの店に2回も来てくれるなんてありがとうどっかのご利益ある神様!)
(祈り届ける相手が無節操すぎるでしょ……っていうかアンタがしつこく言ってたヤバいイケメンってあのオーネストな訳?物理的にヤバいイケメンじゃん。黒竜ぶっ殺したんでしょ?告った翌日に変死体で見つかるとかシャレになんないからやめときなさいって!)
(分かってるの、綺麗な花には棘があるって……でもその棘もまた……はぅあぁ〜♪)
「………お前って本当モテるよな」
「あ?何がだ?まぁいい、この花貰うぞ」
恍惚の表情で見つめてくる店員とその店員の肩を揺さぶる店員に「何をやってるか知らんが愉快な奴らだな」と思いながら、オーネストは「チップ込みだ」といい加減に金貨を一掴み置いて後にした。愉快な奴らは嫌いではない。自分がそうなりたいとは思わないが。
= =
オーネストが墓地の中を歩いているのを、俺は後ろから着いていく。墓地には死の残り香が充満していて、どうしてか落ち着く気分にさせられる。こんな事を感じてしまう自分はどうしようもなく死神に近いのだな、と何とはなしに思いながら進むと、大きな墓の前に二人の人影があった。
一人はヘスヘスことヘスティアだ。普段の露出高めな服ではなく、肌を覆い隠した黒い服――喪服を着ている。その隣にある影はファイさんことヘファイストス。こちらもまた、黒い服を着ていた。ヘスへスは白い花を、ファイさんは赤い花を墓に献花する。オーネストはその隣からしゃがみ、黄色い花を墓に添えた。3人のイメージカラーに合わせたような花束たちが、風によって微かに揺られた。
「これが、俺に見て欲しかったものか?」
「そうなる。別段大したことではないが、一応お前には言っておこうと、な」
墓場に吹き込む風で美しい金髪を揺らす物憂げな姿は、大した事ではない出来事に思いを馳せるには余りにも不釣り合いだった。それに、この墓から感じる死の気配は、余りにも。
「やっぱり感づいたかい、アズ。君には分かるんだね、この苦しみの残り香が……」
「ヘスヘス、この墓は………これは、恐怖や憎しみの、争いの中での死の気配か?」
「『テティス・ファミリア』……僕やヘファイストスにとっては姉のような存在だったテティスが率いていたファミリア達の墓さ」
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