67.確かにそこにいた人々へ
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間にか英雄とされた。
同時に、こんな噂も世間に流布される事となる。
――あの二人は、『レベル8』に踏み込んだ超越者なのではないか、と。
「………ってな話になってるんだってよ」
「誰からの情報だよ?」
「さっきギルドに行った後にラッターがな。どうやら俺らがダンジョン内で寄り道してる間に情報と例のアレだけ上に登ってたみたいだ」
贔屓にしている情報屋のラッター・トスカニックがその情報をくれたのなら、本当にそうなのだろう。いつぞやのアルガードの件で花を買った出店で黄色い花を見繕いながら、オーネストは漠然とそう思った。それにしても例のアレか、とオーネストは一人ごちる。偽装の為に持って帰ったあの高価な石ころの存在にギルドは右往左往しているそうだ。
「黒竜が体内に持っている特殊な魔石、その名も『竜玉』!……ってなことでお前が持って帰った黒竜の目ん玉結晶をギルドに出したんだけどな。どうやら従来の魔石とは全然組成が違う上にエネルギー量がとんでもないってことで、鑑定した職員が悲鳴を上げてたぜ」
「だろうな。あれは魔石を変質させた一種の魔道具だ。あれが一つ暴走するだけで街が滅ぶ。尤も黒竜が本来持っていた魔石のエネルギー総量はあんなものじゃなかった訳だが……ま、何も知らない馬鹿共は知る由もないだろ」
「でも一つ問題があってな。黒竜討伐報酬とあの魔石の代金合わせると、館の金庫がもう一つ必要な量になっちまうっぽいんだよ。額が額だけにギルドも即金は無理って言ってたけど」
「いるか。山分けにするなりヘスティアに擦り付けるなりしとけ」
「ヘスヘスに押し付けるか。いい案だな!」
何となく二人の脳内で金塊に押し潰されて情けない悲鳴を上げるあの紐神の姿が脳裏を過ったが、浪費家の彼女が本気になればどうにか使い切ってくれる筈である。最初の最初にアズが彼女に献上した500万ヴァリスが翌日にはアクセサリ代に消えてたくらいなので間違いない。
……尤も、使っても使っても補充されるドブ金に彼女の何らかのリミッターが働いたのか、すぐに金に手を出さなくなったが。
「黒竜は何やってんの?」
「他の三大怪物に会いに行くそうだ。その後は人間について学ぶと言っていた」
「へぇ。『彼女』も大概放任主義というか、親子して似てるというか………」
黒竜を戦闘不能にしたオーネストは、黒竜の命を取らなかった。というより、もう黒竜の命を取る取らないという話に大して興味が持てなかったのだ。そこでオーネストは黒竜の意見を聞き、彼の死を偽装するために彼の体に埋まっていた眼球代わりの器官を譲り受けたのである。ついでに黒竜の角も一本押し付けられ、それはシユウに預けてある。あれは一種の呪物だ。おいそれと持ち歩けない。
一方のアズだが、こっちはこっちで『魔王』と
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