第62話<艦娘の剛と柔>
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(何だかんだ言っても日本人は浴衣だな)
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第62話 <艦娘の剛と柔>(改2)
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『お母さん、行ってきまぁす』
玄関先で母親に大声で挨拶をした美保の艦娘たちはゾロゾロと出発する。母親も嬉しそうに手を振っていた。
「あれ?」
さり気なく母の隣には父親まで出ていた。さすがに彼は手は振らずに腕を組んでいたが。
(まあ、良いか)
両親も嬉しいのだろうか? と思った。
まだ私は独身なのだが親から見れば自分たちの孫世代の艦娘もいるわけだ。やっぱり親の世代から見れば小さい女の子は可愛いのだろうか。
さて実家から境港の駅までは、のんびり歩いて20分も、かからない。艦娘たちは実家から持ち出したのだろうか? 手に団扇を持って、ゆっくり扇ぎながら歩いている。
今回のように10人規模の艦娘たちが一斉に浴衣を着て歩く姿は他の鎮守府でも、めったに拝めないことだ。盛んにシャッターを切る青葉さんの写真は艦娘の歴史に残るものかも知れない。
既に西の空は夕日で橙色に染まっている。町全体が紅くなる中で色とりどりの浴衣を着た艦娘たち。傾いた陽を浴びた彼女たちも薄っすらと紅く映える。
(何だかんだ言っても日本人は浴衣だな)
こればかりは譲れないと思える。
夏の夕空は明るい部分から徐々に色調が変化している。
細長い海峡である境水道と、その向こう側に連なる高尾山へと向かって橙色から徐々に青い色へ移ろい行く空と雲。その光景は艦娘たちと相まって清々しい。
(この空気感は、この地域独特のものだ。失いたくないな)
別に詩人でもなんでもない私にも、そう思わせる自然の調和だった。
青葉さんは美しい風景を背にした艦娘達の姿を盛んにシャッターを切っている。どうせ後で売りつけられるんだろうけど、それでも構わないと思わせる美しさだった。
五月雨と寛代は、さっきから舞い上がって走り回っている。
「おい、車道に出るなよ。轢かれるぞ」
思わず注意した。
「はい……すみません」
はにかむ五月雨。緑と青の浴衣姿で、ちょっとしおれている姿は、まるで小学生だ。
「……」
一方の寛淑は舌を出している。こっちは赤い浴衣で、全てが対照的だな。
私たちは水木しげるロードに入る路地まで来た。この辺りからは、もう屋台が立ち並び始めている。
「あれは何じゃ?」
「屋台ですね」
「お店ですか?」
「へぇ、ワンダフォーね」
艦娘たちは、お祭りの雰囲気そのものに興味津々だ。
「だいたい、お祭りの屋台はボッタクリだか
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