第二十九話
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んがドックに行っているため、医務室で待っていた。
「………ごめんなさい。結局、一発も当てれなくって…………。」
春雨は自分が囮としてしか働けなかったことを情けなく思っているらしい。さっきから殆ど元気がない。
「いや、こっちも結局当てれたのはあの一発だけだった訳だし。次に向けて訓練あるのみだ。」
俺は口ではそう言ったが、やはりなかなか悔しい。
悔しいのだが。
「うっぐ…………ひっぐ…………ごめん…………本当にごめん…………。」
さっきから椅子に座ってボロ泣きしている木曾を見たら、逆に冷静になってしまう。
「もっと………もっと色々してやれることあったのに…………力及ばなくて…………ホントごめん…………ぐずっ。」
どうやら、自分の教えが足りなかったせいで摩耶さんに勝てなかったと思っているらしい。
「摩耶さんに勝てるようにするって言ったのに…………約束守れなくって…………うぅ。」
………………本当にこれがあの『魔神木曾』なのかねぇ?と思ってしまうような弱々しい姿。
その姿を見て、俺は木曾についてもうひとつ確信したことがある。
こいつは―――すげぇ仲間思いなんだ。
だから約束を守ろうとするし、破ってしまったら目茶苦茶反省する。
いいヤツなんだ。
…………まぁ、このまま放っておくのも悪くはねぇけど、流石に泣いてる女の子に何も言わないのは、男としてダメな気がした。
「いや、結局は俺たちの爪の甘さだよ。最後まで奇襲で行ってたら分かんなかったかもしれん。」
俺は木曾の頭を撫でながらそう言った。
…………こいつ、髪サラサラだな。
なかなかがさつな性格だと思ってたから、ちょっと意外。
「う…………でも…………。」
「それに、お前がボロ泣きしてんのは見ててキツい。なぁ、春雨、拓海?」
俺は木曾の言葉を遮って、春雨と木曾に同意を求めた。
「そうですよ!木曾さんは『フフッ、怖いか?』って言ってる方が似合いますよ!」
春雨…………それは天龍や…………。
「だね。『死ぬぜぇ、俺の姿を見た者はみんな死んじまうぞぉ。』とか言ってる方が。」
「誰だ!」
そんな事言うような艦娘居なかったろ!
そんな感じで、思わず拓海に食いついてしまったら。
「くくっ…………ははっ。」
木曾が、笑った。
「確かにそうだな、オレは堂々としててなんぼだ!」
そう言うと、木曾は椅子から立ち上がって、いつものクールスマイルを浮かべた。
…………目は真っ赤だけど。
「おう、分かったら顔洗ってこい。」
俺は木曾にそう言った。
「おう!それ
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