第二十九話
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―五日後―
「さぁて、待ちに待った本番だぜ!」
摩耶さんは、俺と春雨の前で腕組みをしながら仁王立ちをしている。かなり自信満々のようだ。
俺と春雨と摩耶さんは艤装をフル装備で海上に立っていた。
摩耶さんとの雷撃勝負の日が来たのだ。
「一応ルール確認な!そっちの勝利条件は雷撃でアタシを大破判定させること。アタシの勝利条件はあんたら二人を大破判定させること。いいね?」
昨日確認したことをそのまま言ってきた。
どうやらこの対決の話は鎮守府中に広がっているらしく、岩陰や防波堤には何人も観客がいた。ほぼ全員じゃないかな?
ま、関係無いけどな。
「に、二号さん、勝ちましょうね!」
春雨は両手を胸の前で握って気合いを入れていた。
…………あの図書館での一件以来、何となく春雨の仕草を見てしまうようになってしまった。一体どうしたのか、俺にも分からない。
気にしないようにしないと…………。
「おう、勝って摩耶さんに洗いざらい話して貰おう。」
途中から雷撃の練習をすることがメインになっていたが、本来の目的は木曾の昔話を聞くことだ。今さらどうでもいいとか言えない。
「そいじゃ、一分後に開始だ!散りやがれ!」
摩耶さんはそう言うと、岩陰に消えていった。
「さてと、俺らも行くかな。雷撃で摩耶さんに大破判定ってことは、最低でも二、三発当てないといけないのか…………。」
この鎮守府でもトップクラスの実力者である摩耶さん相手に………だ。
「ま、作戦通りにやってみよう。」
―一分後―
「一分経ちました!」
春雨が小声で教えてくれた。ここから摩耶さんとの真剣勝負の始まりだ。
恐らく摩耶さんなら、初手に…………。
そう考えていると、上からなにかが落ちてくるのを見た。
「春雨!目を塞げ!」
俺はそう言いながら、自分の目を手で押さえる。
案の定、手で押さえていても分かる位の閃光が。前に木曾がぶん投げてた閃光弾だ。
「やっぱり目眩ましかよ!本気じゃねぇか!」
「摩耶さんですよ!?当たり前じゃないですか!」
春雨も何とか目を眩ますことは無かったらしい。
「ちくしょう、ほぼ真上から落ちてきたから、どこから投げたのか全くわかんねぇ………。」
俺たちが最初に動かなかった理由としては、こんな感じで摩耶さんが投げてきたり砲撃したときに、どこにいるのかの手掛かりにしたかったからだ。
全くわからないままだけど。
「いや、ここから南南東に八百メートル先の岩場です!そこからとりあえずこっちの方向に閃光弾を投げたみたいで
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