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スーパーロボット大戦OG〜泣き虫の亡霊〜
第一話 亡霊が泣く〜前編〜
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上司と部下なんていうものは。自身の管轄から離れたら、それはもうただの他人となるのだから。司令室を出たライカは、新天地へ向け、歩き出す。


 ◆ ◆ ◆


「……行ったか」

 一人残った司令室で、彼――ラインハルト・フリーケンは、自分の椅子の背もたれに身体を委ねる。パソコンのスリープ状態を解除し、一つのファイルをクリックすると、“彼女”の経歴が表示された。

「全く……非常に惜しい人物を取られたものだよ。……ライカ・ミヤシロ中尉」

 先ほどまで向かい合っていた人物を思い出しながら、ラインハルトはもう一つのファイルを開く。それは先ほど、彼女に見せたファイルだった。

「メイト……。彼女の我が儘には昔から手を焼かされるよ……。あんな“パイロット殺し”、ATXの“時代遅れ”と良い勝負のコンセプトだ」

 おまけに厄介なのは、とラインハルトはその人物の言葉を思い出す。否、刻み込まれたものだ。

 ――私はね、ラインハルト。見てみたいの。人間と機体の可能性を……限界って奴を。

「堂々とモルモットが欲しい……そう言えば良いだろうに」

 傍らに置いてあるリストを手に取る。そこには三人のパイロットの名前が載っていた。その共通点は酷く明瞭単純。

「彼らは皆、精神を病むか重傷を負い、軍を去っている。……彼女の“作品”によってな」

 皆、既に軍を退いている所だ。ここで、メールの着信に気づいた。送信主は、例の彼女。

「……ほう、やはり決まりか」

 内容を確認したラインハルトは少し口角を吊り上げる。

「『グランド・クリスマス』での戦闘記録を送ったのが決め手だったか。“あの部隊”にいたという事は話に出していないとは言え、厄介なのに目を付けられた、としか言えないな。……ふ、他人事だ」

 キーボードを叩き、メッセージを作りだすラインハルト。つい先ほどここを去っていった彼女のこれからを考えると、わずかながら同情をおぼえたが、もう済んだこと。

「ぜひ潰されないように」

 ――彼女に贈られるのはこの言葉だけだ。


 ◆ ◆ ◆


 相変わらず乗り心地は微妙だった。
 機には例の物資と、ライカ用に用意されたガーリオン、そして操縦士とライカの二機と二人。輸送機《レイディバード》の席に座っているライカは、タブレットをいじりながらこれからのことを考える。

(……また私は……伊豆で……。いや、そんなことは良い。与えられた仕事はこなす。納得いかないことはやらない。……それで、良いじゃないか)

 窓から外を見ると、雲一つない綺麗な空だった。伊豆まであと七時間、といった所か。このまま何も起きないと良いが、ライカはそう居もしない神に祈る。

「……ん?」

 僅かに機体が揺れ
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