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SAO−銀ノ月−
掛罠
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が、当然のように懐に潜り込まれてしまい。日本刀《銀ノ月》を振るえないほどの近距離から、心臓を抉るようなダガーが迫ったが、そこは風魔法を暴発させてお互いを吹き飛ばすことで事なきを得て。

「なによっ……こいつら!」

 暴発から上手く体勢を整えて柄から《閃光》のアタッチメントを排出していると、背後からリズの悲鳴に近い言葉が聞こえてくるものの、あいにくと助けに行く暇はない。あちらも自力で何とかしてくれることを祈ると、俺の頬を雷撃が掠めた。一瞬でも首をかしげるのが遅ければ、それだけで俺の頭部は焼かれていたと確信できる。

 最初に接敵したサラマンダーは、まだ《閃光》による視力へのダメージが回復しておらず、槍を構えて待機していて。共に風の暴発で吹き飛んでいったスプリガンは、予想外なことだからか未だに体勢を整えられずに転んだままで。リズにシノンも戦っているとなれば、俺の前に残るはあと一人ほどか。

「あれ、やっぱりヘッドショットはダメか……なら……」

 予想通り、いかにも魔法使いといった風貌のシルフが一人。ワンドを片手にブツブツと何事か呟く眼鏡をかけた彼が呪文を唱えるとともに、その手に持ったワンドに雷が宿っていく。どうやら、あのワンドから魔法を弾丸のように撃ちだしているらしく、こちらへワンドを銃のように構えると。素早い詠唱とともに、再び雷撃が放たれるのと、日本刀《銀ノ月》に新たなアタッチメントが装填されるのは同時だった。

「は?」

 装填したアタッチメントは雷属性。こちらは同様に刀身が雷撃を纏っていくだけではなく、敵が発射した雷撃を吸収する効力を発揮する。シルフの間抜けな声とともに、ワンドから放たれた雷撃が刀身に吸収され、猿真似のように日本刀《銀ノ月》をシルフに構えて。

「……返す!」

 返礼だとばかりに日本刀《銀ノ月》の柄にある引き金を引けば、雷撃を纏った刀身が高速でシルフに飛来していく。自らの魔法に絶対の自信を持っているのか、再びワンドからの雷撃を放ったものの、それは日本刀《銀ノ月》に内包される雷を増幅するのみに終わる。

「チッ!」

 とはいえ距離が遠い。舌打ちとともに身を翻したシルフには当たることはなく、そのまま刀身は背後へと消えていく。苦労もなく飛来する刀身を回避したシルフは、何度でも撃ち込んでやろうという意図を込めてか、さらにワンドに雷撃を込めて。

「があっ!?」

「はあ……!?」

 ――背後から響いた悲鳴を効く。三乗の雷撃をた伴った刀身の狙いは最初からシルフではなく、シルフの背後で風魔法の暴発から体勢を整えていたスプリガン。彼の視点からは飛来する刀身はシルフが陰になって見えず、さらに体勢を整えていたところということもあり、その一撃は深々と肩口を貫き傷口は雷撃が焼いていた。


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