暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
掛罠
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 ああした言動をしているリーベだったが、《GGO》の時も苦戦させられたのは、誘導された最終決戦の場所に入念に設置された罠。そしてそれ以上に、戦う前にこちらの行動を余すことなく観察したからこそ出来る、どんな行動を取るかの先読みだった。それらのように、戦いを始める前こそが彼女の本領であり、今回もそれは例外ではないのだろう。

 ……つまり、シノンがアバターを変えて《ALO》に来てから、俺たちはずっと監視されていた可能性もある。

「へぇ。アバターが違くても分かるわけ?」

「分からないわけないじゃん! こうして会話して、ウチが『密売人』の証拠を漏らさせようとする、シノンちゃんでしょう?」

「っ……」

 そして、そんな下調べのことなどはリーベはおくびにも出さずに。シノンがどうしてか会話を引き伸ばそうとしていた理由は、他ならぬリーベの手に……口によって知らされる。手痛い返しをされたシノンも、持ち前のポーカーフェイスを崩さないでいたものの、少しばかり眉間にシワが寄っていたが、これ幸いと会話を続行する。

「分かってるなら話は早いじゃない。どうなの?」

「うん! ウチが例のデジタルドラッグを撒き散らしてる当人だよ! 安くて好評なんだけど、シノンちゃんもどうかな? ……強くなりたいんでしょ?」

「……おあいにくさま。間に合ってるわ」

 隠す気のない舌打ちとともに、シノンはリーベとの会話を打ち切った。その成果として、何の抵抗もなく『密売人』は彼女だと、他ならぬリーベによって晒される。戦闘の最中にでも写真に納める気なのか、背後でリズが《記録結晶》を準備しているようだが、それはリーベにも筒抜けだったようで。

「ステージに立った踊り子はさ、確かに写真撮影は自由だけど、無許可は失礼だよねー……事務所を通してもらわないとさぁ!」

「……構えろ!」

 いきなり背中に冷水をかけられたかのような悪寒に、ほとんど反射的に残る二人へと叫ぶ。しかしてシノンにリズも同様の悪寒は感じられていたようだが、二人が武器を構えるより早く、突如として複数のプレイヤーが俺たちを取り囲んでいた。明らかに対人戦を想定した装備にバラバラな種族、明らかにこちらへ敵意を向けていることと、彼らがリーベの手のものなのは明らかだ。

「こいつら……どこから!」

「苦労したんだよ? シノンちゃんにもバレないくらいの《隠蔽》スキル持ちの、ひ、と」

「……なによ、あんたら!」

「散れ!」

 どうやら浮き小島の下にでも隠れていたらしく、シノンへの煽りとともにリーベはすっかりと見物に入るようだ。リズの糾弾にもまるで応える気もなく、いきなりプレイヤーたちは襲いかかってくるが、相互に連携しようとはせず包囲はバラバラで、個別に逃げられるだろうと判断
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