ペルソナ3
1774話
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塔から出た俺とゆかりは、当然のようにゆかりの家に向かう。
いや、正確にはゆかりの家じゃなくて寮か。
本来なら結構離れているのだが……
「何て言えばいいのかしらね。正直なところ、アクセルの便利さが少し羨ましくなるわ」
呆れた様子で、ゆかりがそう告げてくる。
まぁ、無理もない。塔を出てから1分もしないうちにこの寮に戻ってきていたのだから。
徒歩1分未満。
勿論それは影のゲートを使った転移魔法だが、通勤時間、通学時間を気にしなくてもいいというのは、非常に嬉しいものだろう。
「俺にとっては、影のゲートを使った移動が普通だからな。……それより、今日はゆっくりと休めよ。幸いと言うべきか、俺達にはこの奇妙な現象に囚われている分、他の連中よりも1日の時間が多い。普通よりも睡眠時間を多く取るのは、ゆかりにとっても重要だろ」
何だかんだと、命を懸けた戦いを繰り広げたのだ。
未知の塔に挑戦したというのもあるが、そういう意味でもゆかりは肉体的に相当疲れている筈だった。
「そんなに疲れてはいないんだけど」
そう告げるゆかりは、不思議そうに首を傾げる。
「それは、精神的に高揚しているからだ。考えてもみろ、お前は今まで本当の意味で命を懸けて戦うなんて真似をした事があるか? とにかく、今は眠くなくても布団でゆっくりと横になれ。そうすれば自然と眠れて、この現象も終わっている筈だ」
「それはいいけど……アクセルはどうするの?」
「まさか、2日続けてゆかりの部屋に泊まる訳にもいかないだろ。それに、昨日は幸い隣の部屋の人はいなかったみたいだけど、今日は帰ってきてるんだろ? そんな状況だと、俺の事が見つかる可能性もある」
まぁ、気配遮断を使えば普通の人間に見抜かれるような事はまずないんだけどな。
それでも万が一という事もある。
「それに、女子高生のゆかりが夜中に男を部屋に連れ込んでいたって話が広まったりしたら、色々と不味いだろ」
「それは……そうだけど」
何を想像したのか、ゆかりの顔が再び赤くなる。
本当に男慣れしてないな。
そのうち、悪い男に騙されないといいけど。
「それにゆかりも、一つ屋根の下に男の俺がいれば、色々と落ち着かないだろ? 俺ならどうとでもなるし、最悪ファミレスに行くから気にするな」
「……分かった。じゃあ一応、また何かあったら連絡してよ?」
「ああ。折角ゆかりに携帯も買って貰ったんだから、何かあったら連絡させて貰うよ。……じゃあな」
「うん、また明日」
そう言葉を交わし、俺は影にその身を沈めていくのだった。
「さて、ああは言ったものの……本当にどうするかな」
周囲に棺桶が幾つもある世界を歩いていると、不意に気配を感じる。
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