ペルソナ3
1774話
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「荒垣、奇遇だな。随分と愉快な友達を連れてるな」
「ああっ!」
俺の言葉に、反射的に声を返してきたのは荒垣……ではなく、その荒垣に向かって怒鳴っていた男だ。
他の4人の男達も後ろを振り向き……そこにいるのが俺だと知ると、どこか気の抜けた表情を浮かべる。
……俺を見てこういう表情を浮かべる奴ってのは、随分と久しぶりだな。
そんな男達の態度に、どこか新鮮なものすら感じる。
「アルマー、お前何でこんな時間にここに……」
男達とは違い、荒垣の方は俺が登場したのは完全に予想外だったのだろう。
唖然とした様子で俺の方を見ながら、そう呟く。
「ま、こう見えて俺も普通に暮らしてる訳じゃないしな」
まさか、あの妙な現象に巻き込まれて塔を攻略してましたなんて事は言える筈もなく、適当にそう誤魔化す。
運命共同体に近いゆかりならともかく、荒垣は偶然出会っただけの人間だ。
……まぁ、実は荒垣にもあの妙な現象の中で動ける能力があったりするのであれば、話は別だが。
だが、そんな風に荒垣と話している俺が気にくわなかったらしい。
ましてや、今の俺の姿は10代半ばの姿だ。
荒垣よりも小柄だし、自分達が侮られていると、舐められていると、男達がそう考えても仕方がないのだろう。
男の中の1人が、こっちに向かって手を伸ばしてくる。
「このクソガキが! 勝手に喋ってんじゃねえよ!」
その叫びと共に振るわれる拳。
取りあえず殴っておけばいいと、そう考えての一撃。
だが、男がそんな一撃を放とうとしているのに、荒垣は特に気にした様子もなくこっちを見ていた。
今日……いや、正確にはもう昨日か。
ともあれ、俺が不良達と喧嘩をしている光景を見ている荒垣にとって、心配するまでもないといったところか。
事実、俺に向かって振るわれた一撃はあっさりと受け止め……そのまま少しだけ、力を込める。
「がっ! くそっ、痛ぇっ! 離せ! 離せよ!」
「どうしたんだ? ただ、そっと……蝶でも掴むような感じで握っているだけなのに」
そう告げるも、男は痛い痛いと喚くだけだ。
そして俺と男の様子を、荒垣以外の男達はただ呆然と見ているだけだ。
そもそもの話、俺を殴ろうとした男はそれこそ必死になって暴れているが、外から見た場合、俺は全く力が入っているようには見えない。
それどころか、特に表情を変えている様子もないのだから、普通に考えれば痛がっている男が大袈裟に喚いているだけにしか見えないだろう。
だが、それでも仲間が痛がっているというのは仲間にとっては許しがたいのか、やがて男の中の1人がこっちに向かって足を踏み出す。
「庄司から手を離せよ、このクソガキ!」
その言葉と共に拳を振るって
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