能力
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たち"が、認識されないまま俺達と暮らしている、ということになる」
理屈では、彼が何を言いたいのかは分からない。が、言っていることは真実だと、梦見の中の何かが確信していた。
黙って、次の言葉を待つ。
「彼等は、俺達に様々な影響を与えながら生きている。と言っても、実際に危害を加えたり、逆に手助けする奴なんてほんの一握りだけどな。…で、灯はその一握りの妖怪に、目に見える形で影響を与えられた人間を集めた組織なんだ」
妖怪に、目に見える形で影響を与えられた人間……?社長や、同居している紫翔にだって、梦見がそんな違和感を感じたことはなかったのだが。梦見の疑問を察したのか、社長は更に言葉を紡ぐ。
「まぁ、普通に生活していれば、そうそう使う能力じゃないからな。一緒に暮らしてたって気が付かない人も多いさ。オンとオフも切り替えられるし」
そのとき、梦見は思った。「なんだその便利機能」、と。
「オンの状態を、紫翔、見せてくれ」
「ん…仕方ありまへんなぁ、ちょっとやで?」
と紫翔は立ち上がり、目を閉じた。その途端、ふわぁっ、と蛍のような光が彼を取り囲んだ。それらが弾けたときには、梦見の知らない彼がそこに居た。
「かっ…か…」
「か?」
「可愛い!」
「へっ?」
黒い二又の細い尻尾に、黒い猫の耳。おまけに尻尾がゆらゆらと揺れている。これを可愛いと言わずしてなんと言うのか。しかも服が若干変わった。
可愛い、可愛いです紫翔さん。
スマホを一瞬で取り出し連写する梦見に、紫翔は居心地悪そうに頭を掻いた。
「良かったなー、紫翔。可愛いらしいぞ」
「……気味悪がられなかっただけ、ええけど…何か違う…」
「だって…可愛いよ紫翔さん、尻尾触っていい?」
ゆらゆらする尻尾に、梦見が辛抱堪らずそう聞くと、彼は部屋の隅っこに逃げてしまった。
「はいはい、そういういちゃいちゃは後でやってくれ、このリア充め」
紫翔は突っ込みを放棄したらしく、黙ったまま元の姿に戻って、座った。
「さっきのが能力のオンだな。紫翔のは猫又の契約能力者…って言って分かるか?」
そんな言葉、梦見は聞いたことも見たことも無い。ただ首を横に振った。
「あぁ、普通に生きてれば、まず聞いたことは無いよな。ここでさっきの妖怪の話に戻るんだが…俺達は妖怪に影響を与えられた人間だって言っただろう?その妖怪の種類によって、当然与えられる影響も違う訳だ」
「契約能力者というのは…?」
「妖怪の…妖怪だけじゃないんだが、人間以外のものから影響を受ける方法には、基本的に二つがある。一つは、託宣。これは、産まれたときに妖怪に気に入られた場合に起こる、いわば当人の素質だな。この方法で力を手に入れた能力者は、託宣能力者と呼ばれる。二つ目は、契約。これは後天的に人為らざるものたちと様々な条件付きで契約を結び、力
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ