第二章
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「彼等にはまずここにいると言ってだ」
「そしてですか」
「後で行くべきだ」
「そしてエルサレムで、ですね」
「彼等に会うべきだ」
それがいいというのだ。
「とにかく今の身体では動くことも無理だ」
「そうした身体なので」
「病を癒すんだ」
それに専念すべきだというのだ。
「幸い私はこの病のことを知っていてよい薬を持っている」
「薬もありますか」
「この薬があればだ」
まさにというのだ。
「絶対に癒せる」
「僕は助かるんですか」
「東の豊かな国から来た薬だ」
薬の由来のことも話した。
「これを使えば間違いない」
「すですか」
「だからいいな」
「ゆっくりとですね」
「身体を休めて癒してだ」
「その後で、ですね」
「聖地に行くといい」
エルサレムにというのだ、そしてニコラスも身体が動かないので実際のところどうしようもなかった。そしてだった。
病を癒すことに専念することになった、そしてだった。
彼の床の周りに来た同じ街の仲間達にだ、こう言った。
「先に行っていてね」
「うん、じゃあね」
「またエルサレムで会いましょう」
「聖地で」
「絶対に行くから」
ニコラスは彼等に約束した。
「待っていてね」
「これから僕達は船で行くよ」
「そちらで東に行ってね」
「そうして聖地を取り戻すから」
「そうしてくるわね」
「頼むよ、そして僕もね」
整った少女の様な顔でだ、ニコラスは切実な顔で言った。
「絶対に行くから」
「待ってるよ、絶対に」
「だからまずは病を癒して」
「しっかりと治してね」
「そうだね、そうしないとね」
彼ももうそれしかないとわかっていた、それでだ。
彼等を床から見送ってから医師の治療を受けた、医師は親切にも金はいいと言ってくれて彼の治療を行ってくれた。
薬を飲まされた、そうしてだった。
彼は無事に病から回復した、医師はここで彼に笑顔で言った。
「では今から行くか」
「いえ、お金のことですが」
「いいと言ったぞ」
「そういう訳にはいきません」
真面目で純粋な彼はこう医師に言った。
「ですからここで働いて」
「そうしてかい?」
「助けて頂いた分はお返しします」
「高いぞ」
医師はニコラスに怪訝な顔で告げた。
「それでもいいのか」
「はい」
ニコラスの返事は淀みのないものだった。
「構いません、お返ししてからです」
「エルサレムに行くか」
「そうします」
「そうか、そこまで言うならな」
医師はニコラスの気持ちを察してこう言った。
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