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外道の末路
第七章
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「わからないんだよ」
「そうなの」
「お金を稼いでいたのは事実だけれど」 
 それでもというのだ。
「どうして稼いでいたのか」
「わからないのね」
「あまりいいことはしてなかったのかもね」
 岩美はこうも考えた。
「何かあちこちの市民集会に出たり団体の幹事とかしていたとかね」
「市民集会に」
「そう聞いているから」
 だからだというのだ。
「怪しいお金の稼ぎ方していたみたいだよ」
「ちゃんとしたお仕事じゃなくて」
「それで娘さんも学校で評判が悪くて」
「そうした一家だったの」
「何処に行ったのかはね」
「もうわからないのね」
「うん、ただ証拠は消されたから」
 怪しいその部分をだ、運営費の謎の使途不明金のその部分を。
「警察に訴えることも出来ないし」
「それで逃げられたから」
「どうしようもないよ」 
 岩美は実際に困った顔で妻に話した。
「僕達にはね」
「仕方ないわね、それじゃあ」
「困った人がいなくなっただけでもね」
「よしとすべきかしら」
「それだけでね」
 こう言うのだった、鬘が一家ごと何処かに行ってから。彼等そして団地や学校では鬘についてはそれで終わったが。
 しかしだ、それでもだ。
 数年後朝出勤前に新聞の社会面を読んでいてだ、岩美は朝食を出してくれている妻にこう言った。
「鬘さんが出ているよ」
「あの人が!?」
「うん、沖縄で捕まったよ」
「沖縄で?」
「何か基地反対とか夫婦で集会に出てアメリカ軍の基地に乱入しようとしてね」
 そうしようとしてというのだ。「逮捕されたらしいよ」
「アメリカ軍の基地に」
「沖縄在住の市民活動家ってなってるよ」
 夫婦の肩書はというのだ。
「あの人達沖縄に行ってたんだね」
「何処に行ったって思っていたら」
「あそこにいたんだよ」
 沖縄にというのだ。
「逃げてね」
「そうだったのね」
「うん、そしてね」
「逮捕されたのね」
「アメリカ軍の基地にね」
 乱入しようとしてだ。
「何か凄い暴れてたみたいだよ」
「そうだったの」
「どうしているかって思っていたら」
 団地から消えてからだ。
「こうしたことをしていたんだ」
「何かね」
 明恵は夫からその話を聞いて暗い顔で言った。
「困った人は何処でも同じことをするのね」
「そうだね、基地反対と言っても」
「その中に乱入しようとするなんて」
「問題外よね」
「逮捕されるのも当然だよ」
「お金のことといい他のことといい」 
 明恵はこうも言った。
「おかしなことをする人はいて」
「そしておかしなことをして捕まる」
「その通りよね」
「全くだよ」
 岩美は新聞を閉じてからこう言ってだ、朝食にとりかかった。彼の仕事に向かう為のエネルギーを補給する
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