第四章
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「そうした人もいるとか」
「それは駄目ですね」
「はい、奥さんが浮気しだたのとです」
「そんな噂をですか」
「流されてもいたり」
鬘はそうしたことをしているというのだ。
「そんなこともありますから」
「では」
「はい、何とかして下さい」
鬘自身をというのだ。
「お願いします」
「何とか」
明恵はあらためて聞く鬘の実態に眉を顰めさせた、それで会社から帰った夫に食事の時に話すとだ。
岩美もだ、苦い顔で妻に言った。
「僕も聞いてるよ、あの人はね」
「そうしたこともなのね」
「するんだ」
「つくづく困った人ね」
「だから同じ棟特にご近所の人達はね」
「とりわけ迷惑しているのね」
「そうなんだ、しかも娘さんの躾もね」
「お話の通りなのね」
全くしていないこともだ、明恵は思った。
「そうなのね」
「そうだよ、本当にね」
「団地のことは何もなのね」
「しなくてね」
「言いたいことだけしてやりたいことをする」
「そうした人なんだよ」
岩美も困っている顔だった。
「本当にね」
「困ったわね」
「全くだね、どうしたものかな」
「おk内をあらためる様に言っても」
「もう聞かないのはわかってるね」
「ええ、よくね」
それこそ嫌になる程にだ、明恵もあの若い奥さんから話を聞いてこれまで以上に認識していることだった。
「本当に」
「そうだよね、だからね」
「もうこのことは」
「諦めるしかないよ」
鬘のことはというのだ。
「本当にね」
「やれやれね」
「どうしようもないよ、ただね」
「ただ?」
「嵐は何時か過ぎ去るものだっていうね」
岩美は妻にこうしたこと言った。
「だからずっとあの人がこの団地にいるかというと」
「そうともなのね」
「限らないんじゃないかな」
「だといいけれどね」
「そうだね、ひょっとしたらね」
「そのひょっとしたらってことになって欲しいわ」
明恵の言葉は切実だった、とかく鬘のことは自治会長である岩美とその妻明恵にとって頭の痛いことになっていた。
その頭痛の種である鬘は団地中の住人達との間にトラブルを起こし続けていた、団地の自治会の仕事はしないで口だけやたら出す、あることないこと言いそれに隣人達に嫌がらせそのものの行いを繰り返し娘の躾は全くしない。そうしたことを続けていたが。
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