第一章
[2]次話
過労
三門翔真は高校を卒業して今の職場である酒屋のチェーン店に入社した、黒髪をショートにしており眉は濃くしっかりとした形だ。一重の目は三白眼であり鼻と口は細面によく合った形だ。耳は大きめだ。背は高く一八五ありすらりとしている。
だがその彼を家で見てだ、妹の留華は眉を曇らせて言った。黒髪を長く伸ばしていて涙袋と形のいい頬が目立っている。背は一六一程ですらりとした脚が奇麗な少女だ。ブレザーの制服がよく似合っている。
「お兄ちゃん最近痩せた?」
「そうか?」
「というかいつも朝早いよね」
「仕事は九時からだがな」
それでもとだ、翔真は留華に答えた。
「用意があってな」
「開店前の」
「ああ、それでだ」
「八時にはよね」
「店にいないと駄目だからな」
「それで閉店までよね」
「九時までな」
その時間が閉店だというのだ。
「それで後片付けやら何やらでな」
「十一時までよね」
「店にひるな」
「八時から十一時ね」
「そうだ」
「その間休憩は?」
「昼の一時間、休憩時間以外はな」
翔真は留華に勤務先の仕事をさらに話した。
「レジをやったり酒を出したり配達をしたり掃除をしてな」
「肉体労働多くない?」
「酒は重いからな」
水っ気のものだ、それを一度に何本ともあると重さはかなりだ。
「実際にな」
「それでええと」
朝の八時から夜の十一時までだ、そこから休憩時間を抜く。留華は頭の中で計算してから兄に答えた。
「十四時間?」
「普通でな」
「忙しい時はもっとよね」
「棚出しの時は朝までだ」
その時まで仕事をするというのだ。
「それまでな、次の日は休むが」
「けれど普通で一日十四時間肉体労働メインでやって」
留華は兄の仕事についてあらためて考えた。
「週六日よね」
「そうだがな」
「大丈夫?」
ここまで聞いてだ、留華は翔真に眉を曇らせて問うた。
「それが普通でもっと忙しい時もあるって」
「そうか」
「そうよ、というかそれでが普通の会社だとしたら」
かな考える顔になってだ、留華はま言った。
「他の社員の人どうなの?」
「どうって何だ」
「だから、辞めたり身体壊れたりする人がね」
そうした者がというのだ。
「いない?」
「そういえばバイトの子とか結構辞めていくな」
翔真も言われてこう返した。
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