570部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその二
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第四十五話 魏延、一目惚れするのことその二
「それで晩飯食って寝る前に風呂入ってまでな」
「便所以外にはだよな」
「ああ、強制労働と強制修業だ」
どっちにしろ強制だった。
「それが普通だからな」
「恐ろしい世界でやんすねえ」
「っていうかよ」
臥龍は子分に続いて言う。
「あの二人はそれで平気なのかよ」
「そうでやすね。あっし等と同じことをしていて」
「何で平気なんだ?」
「監督までやってるのに」
「あの二人は疲れを知らないんだよ」
そうだと話す山崎だった。
「そういうことだよ」
「迷惑な話だな」
「全くでやんす」
「だからだ。もう楽しみとかは諦めろ」
非常に残酷な言葉だった。
「いいな、希望も何もかもな」
「じゃあ生きているだけか」
「酷い話でやんすね」
「俺はもうそんなのは忘れたぜ」
楽しみという言葉をというのだ。
「チャンもチョイもな」
「あの二人もか」
「そうだよ、忘れたぜ」
まさにそうだというのである。
「わかったな。そういうことだからな」
「ふう、早く元の世界に戻りたいぜ」
「全くでやんすよ」
「こらっ、そこ!」
「さぼっていてはいけませんよ」
キムとジョンから怒鳴り声が来た。
「手を休めるな!」
「それは絶対にいけません」
「あの二人千里眼だからな」
山崎はこんなことも話した。
「何処にいても誰がさぼってるかわかるからな」
「本当に迷惑な奴等だな」
「全くでやんす」
とにかく彼等もまた強制労働に従事するのだった。それはもう逃れられるものではなかった。まさに地獄と言っていいものだった。
そんな地獄を見てだ。張遼は華雄に話した。二人で外で飲みながらだ。
「なあ、華雄ちゃん」
「何だ」
「キムとジョンやり過ぎやろ」
こう彼女に言うのだった。
「あれは」
「私もそう思うがな」
「ああ、やっぱりそうか」
「確かに問題のある連中ばかりだ」
山賊や盗賊、ゴロツキ達ばかりだ。それは言うまでもなかった。
「だがな」
「朝早く起きて夜遅う寝るまでやさかいな」
「始終労働と修業だからな」
「あれはないやろ」
こう言うのであった。
「やっぱなあ。うちやったら三日で逃げるで」
「実際に脱走者も多いしな」
「全員捕まっとるけれどな」
千里眼は伊達ではなかった。
「それで折檻の嵐やさかいな、脱走者の末路は」
「私もあれは勘弁して欲しい」
華雄もだった。
「絶対にな」
「そうやな。あの二人止められるか?」
「それは無理だな」
華雄はこのことは断言した。
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