暁 〜小説投稿サイト〜
悪魔の劇薬
第六章

[8]前話 [2]次話
「この豆を」
「潰して濾してな」
「濾してですか」
「そうして飲むんだけれどな」
「そうなのですね」
「これがまた美味いんだよ」
 イブンは気さくな笑顔でだ、ハンスに話した。
「とてもな」
「そうですか」
「飲んでみるかい?」
 イブンはその笑顔のままハンスにこうも言った。
「そうするかい?」
「それでは」
 ハンスは興味を持ちそのうえでイブンに答えた。
「お金を払いますので」
「じゃあ飲める店に行くか」
「お願いします」
 ハンスはイブンに頼み込む様に答えた、そしてだった。
 彼はイブンに市場の中にある居酒屋の様な店に入った、そこでは客達が笑顔であるものを飲んでいた。その様子を見てだ。彼はイブンに店の中でも言った。
「何か妙ですね」
「妙かい?」
「酒を飲んでいる様で」
「酔ってないだろ」
「はい、全く」 
 だからだというのだ。
「そんな感じではないですから」
「そうだよな、飲んでも酔わないさ」
「では水の様なものですか」
「いや、水じゃないんだよ」
「お湯でもない」
「お湯から作るけれどな」
 その豆と合わせてというのだ。
「それでもな」
「お湯でもない」
「そうさ」
「何か余計にわからなくなってきました」
「まああれだ、百聞は一見に然ずっていうだろ」
「だからまずはですね」
「飲むことだ」
 実際にというのだ。
「そうしような」
「わかりました、それでは」
 二人で空いている席に座ってだ、イブンは店の者に二つと注文した。すると暫く経ってある飲みものが運ばれて来たが。
 その飲みものを見てだ、ハンスは目を瞠って言った。
「何ですか、これは」
「ははは、やっぱりその反応か」
「あの、真っ黒ですが」 
 見れば見る程だった。
「これはインクを入れたのですか」
「こっちでもインクなんて飲まないさ」
「そうですよね」
「これはコーヒーっていうんだよ」
「コーヒーですか」
「そうさ、コーヒーさ」
 そうした飲みものだというのだ。
「お茶ともまた違うさ」
「お茶というと」
「知ってるかい?」
「確か東の帝国で飲まれている」
「明だな」
「葉ですね」
「ああ、モンゴル人達も飲んでたな」
 ここで言うのはティムール達だ、サマルカンドを中心として大帝国を築いた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ