プロローグ
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を軽く引いてから、前に倒す。すると、ガーリオン・カスタムはモーション通りに左腕を引いてから、カイ機の顔面を殴った。
――ゲシュペンストなら……!
乗っている機体が違っていれば、今ので頭部を吹き飛ばせていた。これが意味することは一つ。
――届かなかった……。
またアラート。今度はレーダーの索敵範囲外から。殴るモーションをしていて伸びきった左腕部の肘から先が吹き飛んだ。次に右足が被弾。バランスが取れなくなり、なす統べなく、重力に身を任せることとなった。望遠カメラを最大にすると、そこには白銀の堕天使とも言うべき機体が慣性を無視した動きで、ビームを放ち続けている。たった一機で制圧射撃を行っていることのなんと驚異的なことだろうか。カイ機や赤い鉄塊は既に次の戦場へと向かっていた。無闇に殺す必要はないということだろうか。
――旗艦が……。そうか、私の戦いはこれで……。
旗艦である《エア・クリスマス》が炎を上げていた。それはつまり、『ガイアセイバーズ』の敗北を意味する。
「……私、死ぬのかな?」
我ながら、落ち着いたものである。こんなこともある。それに覚悟はしていた。人を撃っていれば撃たれるのは当たり前。脱出機構はまだ生きていた、が作動レバーを引く気にはなれなかった。こんなあっさりとした最期も悪くないと思ったから。
――だけど、そうだな……。
一つ、賭けをした。ディーラーなんていない、レイズもコールもない。コインの裏表を当てるような、そんなシンプルな賭けだ。賭け金は自分の命、リターンは――――。
「……もし、私がしぶとく生き残れたのなら、今度こそ……今度こそは自分のやりたいことを……。自分の信じることを……流されるのはもう嫌だ。私の意思で……私の心に正直で……」
――そう、ありたい。
一機のガーリオン・カスタムが、暗い海へ墜ちていった。戦火は続くも、このパイロットの戦いは一応の幕を下ろすことなった。パイロットの生死は――今は誰にも分からない。
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