プロローグ
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真っ向から向かってきた。
――上等。
相対距離三百……二百……。左腕のプラズマバックラーが起動したのか、三本の突起にプラズマが溜め込まれ、放電している。『ジェット・マグナム』。よく知っている武装だ。単純な武装だが、威力は凄まじい。だが、フィールドを抜けるほどではない。カイ機のステークがフィールドと接触する。
――そのまま、弾け飛べ。
一発目のステークが起動した。続けて二発目。信じられない光景が広がった。エネルギーフィールドに“ヒビ”が入ったのだ。いくら現地仕様とはいえ、ステークの出力が多少変わっていようとも、『テスラ・ドライブ』の恩恵により生み出されたエネルギーフィールドに“ヒビ”を入れられるとは……。
――まさか。
悪寒が走り、コンソールを叩いて画面を呼び出し、フィールドの状態を確認する。……案の定だった。このソニック・ブレイカーには、フィールドを形成する両肩のユニットと集中点である真ん中は強固だが、離れた場所……下か上になるにつれ“薄く”なるという弱点がある。“ヒビ”が入るのは仕方ないといえば仕方ない。ただし、やろうと思ってやれる人間はそういない。もし自分がやれ、と言われれば、無理です、と答える。
――これが教導隊カイ・キタムラ。
三発目が、起動した。同時に、ガラスが割れたような音が聞こえた気がした。――次元が違う。もう片方のプラズマバックラーが起動したのが見えた。バースト・レールガンは先ほどパージし、切り札とも言えるソニック・ブレイカーは今しがた破られてしまう。おまけに――。
「不用意に寄りすぎだ!」
突然のアラート。次の瞬間、衝撃がコクピットを揺らす。モニターが赤く点滅し、次々と機体コンディションが表示される。右腕部を持って行かれた。同時に視界の端をあの赤い鉄塊が通り過ぎて行く。
よく見ると、アルトアイゼン・リーゼの頭部の角――固定兵装であるプラズマ・ホーン――が帯電している。アラートが遅いのではない、あの機体の加速力が段違いなのだ。『テスラ・ドライブ』の恩恵の一つである、瞬間的な超加速を可能とする『ブースト・ドライブ』の採用を疑うレベルだ。……随分悠長な思考が出来るな、と少々自分を呪う。
機体のバランスを取り戻す、が腰のウェポンラックからM950マシンガンを手に取り、構えたカイ機のバイザーと視線が重なる。
――この程度で諦めるほど……!
ペダルを再度踏み込み、機体を推進させる。カイ機のマシンガンから弾丸が吐き出されるが、構うことはない。コクピットにさえ直撃しなければ良いのだから。その程度で直進はやめられない。元よりその程度が怖くて、こんな突撃を敢行したりなどしない。鳴りっぱなしの警報が鬱陶しい。モーションパターンをクロスレンジ用に切り替え、左操縦桿
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