プロローグ
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――相変わらず嫌な感覚だ。やっぱり機種変更なんてするものじゃない、か。
高度計から計算するに味方のレリオンが地面に叩きつけられるのは、あと三十秒弱。ギリギリ間に合うか間に合わないか。気づけばペダルをベタ踏みしていた。まるで新兵だな、と自嘲しながらも、視線はカイが駆るゲシュペンストへ。錯乱でもしたのか、拘束されているレリオンが出鱈目にレールガンを放ち続けている。
――もう少し。
流石と言うべきか、カイ機の降下速度が増した。だが、こちらも加速に乗る。横っ腹直撃コース。だが、現実はそう上手く行くはずがない。相手は百戦錬磨の『鋼龍戦隊』。
先程まで、三機のレリオンの集中砲火に晒されていたはずの“古の鉄の巨人”がこちらの背後を猛追して来ていたのだ。後部監視用モニターから眼が離せない。よそ見など三流も良いところだが――生憎、相手が悪い。
機体識別コード『PTX‐003C‐SP1』。
《アルトアイゼン・リーゼ》と呼ばれるこの機体に背後を取られて、一体どれだけの兵士が平静を保てるのだろうか。
短い距離ではないというのに、ガーリオン・カスタムの推進力が決して低いわけでもないというのに、赤い鉄塊はどんどん詰めてくる。今からソニック・ブレイカーのモーションをキャンセルし、即刻離脱すれば被弾は免れるだろう。――そんな、“選択肢”はあり得ない。
アルトアイゼン・リーゼの両肩のハッチが上下に開かれた。あそこにたっぷりと詰め込まれているチタン製のベアリング弾は、確実にこのガーリオン・カスタムの装甲を引きちぎるだろう。――その前に、もらっていく。
だが現実は非情。彼の機体に有効打を与えうる武装は現在稼働中。……そこで考えた。
モーションの邪魔になるので、腰の後ろにマウントしていたバースト・レールガンを強制排除。狙いは開きっぱなしのハッチ。目潰し、あわよくば誘爆をしてくれたら御の字だ。バースト・レールガンが後方へ飛んでいく。
結果は失敗となった。鉄塊は両脛と足裏のスラスターで急停止し、急激に上へ進行方向を変え、モニターから姿を消した。振り切ったことを信じて、改めてメインモニターへ意識を戻す。……一瞬とはいえ、メインモニターから目を離したツケが回った。――やられたのだ。
目の前には、両腕の”空いている”カイ機が。サブカメラを地面に収め、映像を拡大すると、そこにはレリオンだったものの残骸が。――間に合わなかった。
悲しいという感情はあったが、それだけだ。人を殺す機械に乗るということは、皆それ相応の覚悟をしている。あのレリオンのパイロットも覚悟していただろう。
即座に思考を切り替える。仇討ちは趣味ではない。その代わり、倒す。いまだエネルギーフィールドは健在。速度はメーターを振り切る寸前。カイ機は回避運動を取るどころか、
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