SAO:tr5―ジョーカー―
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ぇから」
こんな時でもドウセツは平然としているか、変にマイペースというか……慌てる姿なんて想像しないけどさ。
こんな時、レベルも名前も表示されていればある程度は推測できるんだけど……まあ、プレイヤーキルと言う殺人を防ぐデフォルト仕様だからしょうがないよね。
ただ、きっちりした隊形をとるだけでもある程度は推測できる。私が言った、『軍』という存在の可能性が高い。
「念のため確認したいから、隠れてやり過ごさない?」
「そうね……あの茂み中で隠れましょう」
「うん」
「どさくさにまぎれてセクハラしたら追放するわよ」
「しないって」
マップを消し、ステータスウィンドウの装備フィギュアを操作、深緑色のロングマントと装着して道に外れた緑の茂み陰にうずくまった。
私の服装では目立ちすぎるから、茂みの色に合わせた深緑色のコートが役に立つ。隠蔽ボーナスが高く、隠蔽条件を満たせば、よほど高レベルの索敵スキルで走査しないかぎり発見することは難しい。ただこのマント、耐久力は低いわりに重くて移動しにくいから、普段は着用しないけどね。
ザッザッと規則正しい足音がかすかに届きはじめ、やがて大きくなる。
全員が剣士クラス。お揃いの黒鉄色の金属鎧に濃縁の戦闘服。全て実用的なデザインだが先に立つ六人の武装は片手剣。後衛六人は巨大な斧槍。計十二人がヘルメットのバイザーを深く降ろしているためか表情を見ることは出来ない。恐ろしいほどに、そろった動きはシステムが動いているように思わせてしまうような行動。
彼らは、基部フロアを本拠地とする超巨大ギルド『軍』という存在だ。
文字から読み取れるイメージ通りなのか、軍は決して一般プレイヤーに対して敵対的な存在ではない。犯罪行為の防止を最も熱心に推進している集団ではあるが、方法が過激でオレンジ色のカーソルのプレイヤーを発見次第問答無用で攻撃し、投降した者を武装解除しては本拠である黒鉄宮の牢獄エリアに監禁していると言う話。投降せず、離脱にも失敗した者の処遇に対する恐ろしい噂も耳に入っている。あと、常に大人数で行動し狩場を長時間独占してしまうこともあって、一般プレイヤーの間では『軍には極力近づくな』と言う共通認識が生まれていた。
十二人の重武装戦士の軍は、ガシャガシャっと鎧の触れ合う金属音と重そうなブーツの足音を響かせながら整然と行進し、深い森の木々の中に消えていった。
「……行った?」
「行ったわ」
マップで軍が索敵範囲外に去ったことを確認し、茂み中なから出る。
「予想通り『軍』だったけど……なんだろうあんまり嬉しくない気がする」
というのも私からすれば、『軍』が最前線にいることが疑問でしかないからだ
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