暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1773話
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出ない? 時間的にそろそろこの現象が終わってもおかしくはないし」

 そう告げるゆかりの言葉に頷き、俺とゆかりはエントランスを出る。
 周囲を見回しても、相変わらず謎の現象が起きたままだ。

「ねぇ、もしこのままどうにも出来なかったら……どうする?」
「そうだな、それはちょっと困るな」
「そうね、私も困るわ」

 困る、としか言えない。
 まぁ、この現象の中でも食い物とかは普通に食えるし、いざとなればその辺の店から勝手に持ってくる事も出来る。
 この現象の中では時間が止まっているのであれば、食べ物が腐るという可能性は考えなくてもいいだろう。
 だとすれば、世界中の食べ物を食い尽くすより、ゆかりが寿命で死ぬ方が早いだろう。
 俺の場合は……まぁ、何とでもなりそうだが。

「ああ、そうだ。いつまでも炎獣を連れて歩く訳にもいかないし、その炎獣を消すぞ」
「え? ちょっ、それ本気!?」
「ああ。……そもそも炎獣というのは、俺の炎、白炎から出来ている代物だ。そうである以上、時間が経てばそのうち消えるんだよ」
「……けど……」

 逡巡した様子のゆかり。
 どうやら、俺が思っていた以上に炎獣を気に入っていたらしい。
 まぁ、影から自分の命を守ってくれた相手だしな。
 そういう風に考えてもおかしくはない。

「安心しろ。……って言い方もどうかと思うけど、明日また塔に挑む時には同じ炎獣を作ってやるよ」
「……分かった」

 そう告げ、残念そうにしながらもゆかりは炎獣を地面に下ろす。
 それを確認し、俺は指を小さく鳴らすと、猫の炎獣は白炎となって空中に消えていくのだった。
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