思惑のピース
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満そうだが、こればかりは仕方ない。ま、どうせフーちゃんを引き取りにまた来るんだし、その時にでもゆっくり話せばいいか。
ちなみに彼女がここにいるのは、さっきケイオスが言ってたように彼女の母親が安全のために預けたからだそうだ。まぁ、ここの守りはシェルター並みにしっかりしてるから、親としては子供を家や学校に置いとくよりはるかに安心できるだろう。とはいえ学校側もいつまでも休校にするわけにはいかないから、こんな状況だけど彼女達もここから登校させるようだ。一応通学路は兵士と局員が護衛につくとはいえ……なんかすっごく嫌な予感がするけど、大丈夫なのかな?
「という訳でフーちゃん、ちょっとの間だけお留守番、お願いね」
「……う、ふぇ……!」
「大丈夫、大丈夫だから泣かないで。ちゃんと早めに帰って来るから、ね?」
泣き出しかけたフーちゃんに優しく語りかけながら撫で続け、この子の不安をゆっくり払拭していく。そして大人しく泣き止んだフーちゃんを見た孤児院のお婆ちゃんシスター曰く、「あなたはとても愛情深い人ですね」と私を評してきた。
「でも、その愛情を届ける心が、少し歪で脆弱のようにも見えます」
「心が……歪で脆弱?」
「左様です。例えるなら羽が折れた天使、とでも言いましょうか。あなたの心にある空白、無力感と虚無感を埋めるために他者へ愛情を送っている……そんな気持ちがどこかに見られます」
「空白……心当たりはあるかな……」
「もちろん、あなたの愛情自体は尊いものです。それはフーカちゃんが短時間であなたに懐いている所からもわかります。要はあなたが自らの心の空白を埋める存在さえ見つければ、あなたの愛情は万物を包み込み、あなたの慈悲は世界を覆うほどの輝きを放つことでしょう。ただ、もしその空白に悪魔が入り込んでしまったら……もし一度埋めた空白が再び開くようなことがあれば……あなたの愛は憎しみに反転してしまう可能性があります。どうか、お気をつけて」
「愛が憎しみに変わる……か。ご忠告ありがとうございます。それではシスター、フーちゃんをお願いします」
年の功からか、結構為になる話をしてくれたお婆ちゃんシスターに礼を言い、私は孤児院を後にした。なお、道中でケイオスも本来の仕事をするために別れ、私は荷物を受け取る待ち合わせ場所に行って待機、やってきたトラックのおじさんから配達先に渡す荷物がまとめて入ってるダンボール箱と住所が記されたメモを受け取り、早速仕事を開始した。
え〜っと、今の位置から無駄のないルートを考えると、まずはここから一番近いストラトス家まで鉄アレイを届けて、次にティミル家にゴーレムクリスタルと初級ゴーレム生成魔法教本。このまま中央部にかけて順次届けて行けば、最短時間で仕事は完了するはずだ。……さて、ここから
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