第93話 決着
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
十兵衛は、一つ息を吐いた。そして、天草をみようとした。
その時、風を切り裂き、十本の髪切り丸が、十兵衛を襲った。が、剣と体さばきでなんなくその攻撃をかわした。
「奇襲のつもりか、天草四朗?」
十兵衛は、天草を睨んだ。
「ははは。お前に今の攻撃が通じるとは思っておらんよ」
天草は無邪気に笑った。が、しかし・・・・・・・
(但馬を倒したあの技は厄介だな)
と、内心危機を感じていた。が、そうそう連続することが、出来ないことを知る由もなかった。
なぜなら、本来、十兵衛は自らの剣気を抑える事は彼自身も難しいと言わしめるものだった。
そう言わしめる気を抑えるということは、かなりの力が必要になる。ゆえに何度も繰り出せる技ではないのだ。
が、そんなことは知らないからこそ、天草は早急に勝負をつけたかったのだった。
「天草、もうやめろ。お前の手駒はすべてなくなった。おとなしく冥府にかえるならよし。それでも、まだやるというのなら、俺がたたき落としてやる」
十兵衛は、天草を睨み付けた。
「ふん。私を甘く見るなよ。地獄に落ちるのは貴様だ、十兵衛」
天草もまた十兵衛を睨んだ。と同時に、呪文を唱えた。
「妖術髪切り丸・蜘蛛の巣の陣」
天草の失った十本の指から大蛇のようにのたくっていた髪切り丸は、細い糸の束となり、天草の周りそして天守閣の壁を伝いまるで蜘蛛の巣のようになっていった。
「フフフフ。いくぞ、十兵衛。この陣形より逃れる術はない」
天草は、にやりと笑った。と同時に右手の中指であった場所をぴくりと動かした。
すると、数十本の糸状のものが、すごい速さで十兵衛に襲い掛かった。が、十兵衛は難なくそれを交わした。しかし、天草は次々と指を動かし、その糸を十兵衛に襲い掛からせた。
十兵衛は、四方八方からの攻撃をかんとか交わし続けてはいだが、ついには追いつかなくなってきていていた。
(これは、厄介!!)
なんとか薄皮一枚斬られているだけで致命傷は受けてはないが、なんとかしなければと十兵衛は考えていた。
「ははは。どうした、十兵衛?剣豪と言われるお主でもこの攻撃に難儀しているようだな」
天草はやみなく指があった場所を動かしていた。
「さぁて、そろそろとどめと行こうか」
天草は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、全ての指があった部分を動かした。それと同時に一斉に十兵衛に糸状のものが襲い掛かってきた。
(これは避けられんな)
十兵衛は苦笑すると疾風がごとく、天草の元へ走り出した。
「かかったな、十兵衛!!」
それは天草四朗の巧妙な罠だった。
天草を取り囲んでいた十兵衛を捉え、まるで繭玉のように包み込んでしまった。
「ははは。どうだ、十兵衛、動けまい。これが髪切り丸・蜘蛛の巣の陣よ」
天草は狂ったように
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ