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魔界転生(幕末編)
第93話 決着
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笑い転げた。
「さぁてどうしてやろうか?このまま窒息させてやろうか?それとも、圧殺してくれようか?」
 天草は、黒い繭玉を覗き込み、十兵衛に言った。が、その時、その暗闇の中から一点の光を見た。
「な、なんだ、この光は?」
 その光はどんどんと大きくなって、ついには光に満ち溢れていった。
「そ、そんな馬鹿な。この光はぁぁぁぁぁ」
 天草の顔が恐怖にゆがんだ。その時、その光の球が破裂した。
 天草は、その爆風に吹き飛ばされ背中をしたたかに壁に打ち付けられた。そして、破裂した球の中から大きな光の羽を広げた十兵衛が愛刀・典太を右手に持ち、現れたのだった。
「その大翼は、もしかして、大天使・ミカエルの羽」
 天草は、右反面を手のひらで隠し、十兵衛の姿をみた。
「そ、そんな馬鹿なことがあるもんか!!お前が.天使長・ミカエルのはずがない」
 天草の右反面は、醜くただれ、最早、美少年とは程遠いものなってしまっていた。
「俺はそのミカエルとやらではない。俺は、お前と魔界のものをすべて斬るだけだ」
 隻眼だった十兵衛の眼はしっかりと両眼であり、天草を見つめていた。
「神々までも私を見捨てるというのか?私は一体何を信じたらいいのだ」
 天草はぶつぶつ独り言をつぶやいていた。
「おのれぇーーーー!!」
 天草は天に木霊するかのように絶叫した。
「それならそれで結構だ。だが、十兵衛、お前だけは許さぬ。お前もいっしょに地獄へ道連れにしてやる」
 天草は、紙切れ丸をめちゃくちゃに振り回し、十兵衛に襲い掛かっていった。が、十兵衛の背中に生えているかのような羽の光の前では全くの無力だった。
 もともと、この髪切り丸という技は、隠れキリシタンだった女子供達の怨念のこもった髪を天草が編み込んだものだ。
 故に神の加護である光を浴びれば、天に召される喜びで消え去ってしまう。現に、十兵衛を襲う武器であるそれは、十兵衛に近づくたびに消え失せ、隠れキリシタンの女子供の姿になって天に召されて行った。
「くそ、くそぁー」
 天草の声に涙が混じっていた。そして、その翼の光を浴びるたびに体が焼かれ、のたうちまわった。
「終わりだ、天草」
 十兵衛はその翼を広げると、天草に向かって飛び、近づいていった。そして、天草をその愛刀で十字に切り裂いた。
「ふふふ、十兵衛。私が死ねばこの城も崩れさる。お前も一緒に道連れだ」
 その声は、老人のものだった。
「いいや、お前だけが地獄に落ちろ。天草を陰で操っていた張本人・森宗意軒」
 すでに天草は消え失せていたが、十兵衛の剣は黒い物体を貫いていた。そう、ちょうど人間でいうところの頭の部分である。
「お、おのれ!!!!!!」
 その黒い物体は断末魔を残し消え失せていった。そして、摩城とかしていた原城は物凄く音を立てて崩
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