第十四話 森を進みその十五
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「ナポオレンにも」
「御伽の話みたいだな」
「あくまで伝説であり」
「事実はか」
「不明です、ですが」
それでもとだ、順一は否定しない言葉で言った。
「この伯爵が錬金術を極めていたという話はです」
「俺達の世界でも言われていてか」
「実際にダイヤ等の宝石も自由に出せたとか」
「本当にいた人だよな」
「そのことは間違いありません」
「じゃあやっぱりな」
「そうだったかも知れません」
錬金術を極めていたのかも知れないというのだ。
「事実として」
「そうなんだな」
「私は信じています」
この謎に包まれた伯爵の話をというのだ。
「この世で人間が真実だと語れることは僅かですし」
「ほんのな」
「はい、科学が万能かといいますと」
「それも違うな」
「しかも科学は常に進歩しています」
それこそその形をいつも変えるものだ、今この時点にある科学が絶対かというとそうではないのだ。
「その時点の科学で何かを語っても」
「違うかも知れないか」
「若し語ればです」
それはどうなるかというと。
「空想科学です」
「あの本か」
「はい、そうです」
そうした滑稽なものになるというのだ。
「ああなります」
「あのシリーズな」
「滑稽ですね」
「俺もそう思うぜ」
そうした類の本にはだ、智もこう言う。
「ああした本はな」
「全てを語っているつもりですが」
「科学を何もわかってないな」
「今の時点の科学を万能で全てと思っています」
そう妄信して書いているというのだ。
「それも上から目線で」
「漫画やアニメについてな」
「ですからああしてです」
「面白くなくてか」
「はい、批判もされます」
そうもなっているというのだ。
「あの様に」
「実際面白くないしな」
「つまらない本を書くのも才能ですが」
順一は少しシニカルにこうも言った。
「あのシリーズはです」
「その最たるものか」
「ああして自分の知っている範囲を絶対としてあれこれと断定していくと」
「科学じゃないか」
「だから本もつまらなく」
そしてというのだ。
「批判も受けます」
「ネットとかで凄まじい批判受けてるしな」
「それも当然です」
「ああしたことを書いていたらか」
「私もあのシリーズは嫌いですし」
順一にしては珍しく全否定を露わにして言った。
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