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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
562部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその九
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第四十四話 怪物達、北にも出るのことその九

「最近あんたは匈奴に烏丸、それに西方と立て続けに出兵してるな」
「ええ、その通りでしてよ」
 袁紹自身もそのことを認める。
「ですがそれは」
「ああ、わかっている」
 華陀も彼女の言葉に頷いてみせる。
「君主として当然のことだな」
「胡を何とかしなければこの国は持ちませんわ」
「まずは外敵を何とかしないといけないからな」
「それが何か?」
「そのこと自体はいい」
 華陀もそれは否定しなかった。
「だがな」
「だが?何でしての?」
「最近の胡には注意してくれ」
「また攻めて来ると」
「流石に暫くは大人しい」
 暫くは、という限定であった。
「あんたがかなり叩いたからな」
「しかしこれからは」
「どうも向こうに人がいるようだ」
「人が?」
「簡単に言うと優れた主だな」
「それがいるのでしてね」
「優れただけじゃないかも知れないしな」
 ここでだった。華陀の顔が曇った。
「その辺りはどうもよくわからないところがあるがな」
「とにかく。あれですのね」
 袁紹にしても華陀の言葉が完全にわかったわけではなかった。しかしだった。
 彼のその言葉のうちわかる部分を頭の中で反芻してだ。そのうえで言った。
「とにかく」
「ああ、とにかくな」
「胡にはこれからも気をつける」
「そういうことだ」
「特に優れた主がいるかどうかですわね」
「よく見てくれないか」
「わかりましたわ」
 華陀の言葉にだ。頷いたのだった。
「それでは引き続き胡への警戒は続けていきますわ」
「そうしてくれ。あんたの役目は非常に大事だからな」
「自覚していますわ。それで」
「ああ。それで?」
「華陀さんだけでして?ここに来られたのは」
 袁紹はここでこの質問をしたのだった。
「ああ、それか」
「何か聞いたところによると」
 いぶかしみながらだったがそれでも言う袁紹だった。
「怪物が一緒にいるとか」
「確かそれが二人?」
「そう聞いているけれど」
 田豊と沮授も話す。
「それはどうなのですか?」
「今ここに?」
「この城には来ているが宮殿の中には来ていない」
 こう二人に話す華陀だった。
「俺だけだ」
「えっ、けれど」
「何か気配を感じるけれどな」
 ここで言ったのは顔良と文醜だった。
「圧倒的な気配が」
「異様に感じるんだけれどな」
「これって明らかに誰かが」
「あんた以外にここにいるってことだけれどな」
「いや、いるのは俺だけだ」
 こう言われてもこう話す華陀だった。
「実際にいるのは俺だけじゃないか」
「けれど気配が」
「じゃあ何だってんだよ」
 顔良と文醜がいぶかしむ。するとだった。
 不意にだ。彼等が出て来たのだった
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