第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
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。
それは、魔法少女の肉体状態よりもはるかに地獄だ。
彼女たちは感じられる肉体がある。
だが、彼にはそれもなかったのだ。
映司が、ゆっくりとさやかに近寄っていく。
そして、その手に恐竜メダルを握り、ベルトに装填して変身する。
コンボソングがし、プトティラコンボへと変身する映司だが、直後に紫のオーラが噴き出してその体が変貌した。
「ヒッ・・・!?」
その姿は、まさに化け物だった。
恐竜の頭蓋をかぶったかのような頭部。
バフォメットのような首のあしらわれた胸部。
甲殻の皮膚と化した腕。
鋼のように変質した両脚。
まるでこの世のすべてを否定し「無」へと還元するような。
今に在らざるモノによるメダルだからこそ。
今あるすべてのモノを否定し消し去る化け物なのだ。
後ずさるさやかだが、映司はさやかに手を伸ばす。
右手を頬に触れ、左手で抱き寄せる。
「柔らかい。暖かい。そして、こんなにもゆるぎない自分がある」
振れ、感じ、そしてソウルジェムをも含め、すべてを指して言う。
君はこんなにも柔らかい。
誰かを包み、癒すほどに。
君はこんなにも暖かい。
胸に抱き、安堵をくれるほどに。
そして君はゆるぎない。
存在を二つに断たれたとしても、美樹さやかはここにいるじゃないか。
紫のオーラが晴れ、映司が元の姿に戻る。
さやかが見ると、映司の顔は真っ青になっており、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「あんな状態になった俺でも、安心できるくらいにさやかちゃんは人間なんだよ・・・・だから、それですべてがなくなってしまったなんて、言わないでほしい」
それは、いなくなったあいつの為にも。
人でなくとも自分と共に戦い
誰かに感謝されて満足し、消えて行ったあいつの為にも
「やれやれ。全く君たちは本当に厄介な人間だよ」
「「「「!!!!」」」」
夜の闇に、声がした。
闇の向こうから、街灯の範囲に入ってきたのはキュゥべえである。
「テメェ・・・いまさらよくも顔見せられたもんだなぁ、オイ!!」
槍を構えた杏子が飛び出し、さやかを護るように立つ。
切っ先をキュゥべえに向け、今まで誰にも向けたことのない殺気を放つ。
映司もさやかを背中に回して庇うようにするが、一瞬とはいえグリード化のせいで体力を著しく消耗している。
確かにかつてはその姿にもなっていた彼だが、人間に戻った今となっては、あの姿は毒に過ぎない。
適性はあるのでなれないわけではないし、体内に宿しているわけではないからまだ人間だが、やはりあれは無茶な変身だったのだ。
「大
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