第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
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りたいこともあるのに!!それなのに、こんな化け物じゃ何もできないよ!!キスしてなんて言えないよ。好きって言ってもらえないよ。腕がなくなっても、血がなくなっても生きていられるゾンビなんて、そんな化け物がまともな人生送れるわけがないじゃない!!」
叫ぶ
「わたしもうだめだよぉ・・・・もう、何も守れない・・・・人間じゃないのに、化け物なのに・・・誰かを恨んじゃってるのに、憎んじゃってるのに!!誰かを護るなんて、できるはずないじゃない!!」
嫌悪
さやかは理解している。
自分がどれだけの矛盾を言っているのか。
それがどれだけ罪深いかを。
ゆえに、否定する。
自分自身を。
握りしめた青色の光が、黒い闇に染められていく。
「そんなこと・・・あるわけないだろ!!!」
だが、映司の一言がそれを止めた。
「人間じゃなかったら、誰かを護れない?化け物だったら、誰かのために何もできない?誰かが憎いから、嫌いだから。だからそんな自分に誰も守る資格なんかないって!?そんなことあるわけないだろう!!!」
温厚な映司らしくもない言葉。
それは夜の闇に響いていく。
だが、その勢いに驚いたさやかもすぐに頭を振って否定する。
「人間のまま変身して、あんなふうに戦える映司さんに・・・・化け物になった私のことなんてわかるはずないじゃないですか!!!」
「わかる!!俺も、ちょっと前まで化け物だったから!!」
「え・・・・」
「目に映るものが彩られない。聞こえる音にはノイズがかかる。何を食べても粘土を食べてる気分だった。何を触っても不快だったし、そんな匂いも異臭に感じた!!!そんな化け物以下の「物質」に、オレも一回なったことがある!!」
火野映司は、仮面ライダーオーズだ。
そして、オーズの力であるコアメダルは欲望で生成された膨大な力を秘めている。
そんな彼がオーズに変身できるのは、その「欲望の器」の大きさが一番の要因だ。
そして、ある時紫の恐竜メダルが、その器の大きさに惹かれて彼の身体に入り込んだことがあった。
メダル
即ち物質。
時間の経過と共にメダルは彼の身体に馴染み、同時に彼はメダルを使い熟していく。
だが、体内に取り込んだそれは次第に同化し、彼の身体を欲望の怪人「グリード」へと変貌させていったのだ。
そうすると、何をしても満たされることがなくなってしまう。
まさしく、さっき映司が言ったことになるのだ。五感は何を感じても満たされず、永遠に欲求が満たされることはない。
当然だ。
メダルは物質。ただの物に過ぎない。
そんなものに同調したのだ。
物質が何かを感じ、満たされるはずなどあるはずがない
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