第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
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「触らないで!!」
声をかけ、その肩に手を当てようとする杏子に、さやかは拒絶の声を上げる。
「この体はもう私じゃないんだ・・・ただ私のふりをしている人形にすぎないんだよ!!?人間をやめさせられちゃったんだよ!?こんなんで・・・・誰かが好きなんて言えないよ・・・・」
杏子はまだ実感が持てなかった。
この体が傀儡人形だって?本体はソウルジェム?
言われたところで実感がない。
だが、さやかは見せられたのだ。
自室でキュゥべえがソウルジェムに前脚を置いたとき、肉体とソウルジェムのリンクを一時的に切られた。
そして、見たのだ。
ベッドに横たわる肉体。
いくら動かそうとしても、動かない。
そも、この状態で何をどうやってみたのか。
腕もない
脚もない
それどころか、人間の機能のすべてを捨て去られ、ただの石ころになってしまったのだ。
キュゥべえがソウルジェムから離れると、さやかの全身から汗があふれ出た。
リンクを切られたのはたった五秒か十秒だというのに、もう一秒でもすれば発狂しそうな状況。
キュゥべえが触っていたから意識があったのだろうが、そうでなければ・・・・・
否、考えてみれば其の方が残酷かもしれない。
人間でなくなった自分を認識するなんて、それほどの悲劇。
「さやかちゃん・・・それ、本当なの・・・・!?」
一通りの説明を終え、新たな参入者が現れた。
まどかだ。
キュゥべえからさやかが家を飛び出したと聞き、急いでここまで来たのである。
その傍らにはキュゥべえがおり、トテテッと離れて行って手すりの上に座り込んだ。
ジャコッ!!
「あなた・・・・どうしてまどかを連れてきたのッ!?」
「どうしても何も、友達のことなら気になると思ってね。僕は状況を伝えただけで、行こうとは一言も言ってないよ」
「そういうことは問題じゃないんだよ」
ジャキッ
ほむらが銃口を向け、さらに翼刀が剣を向ける。
二人の殺気が、キュゥべえを捻る潰そうとするかのようにその場に充満していった。
その間に、またさやかが走り出してその場から去ってしまう。
「あっ・・・さやかちゃん!!」
「さやか!!」
「映司さん・・・・さやかちゃんを頼みます」
「・・・・こっちは任せた!」
「はい」
さやかの後を追うまどか、杏子。そして映司。
この場に残ったのは、キュゥべえとほむら、翼刀。
体勢はそのままに、言葉だけがその場で交わされる。
「ほむらちゃんは知ってたのか?このこと」
「ええ・・・・」
「話せなかったのか?」
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