第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
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「あんた、知ってた?魔法少女がどういうものかって・・・・」
「は?いまさらそんなことかよ・・・あたしたちは魔女を倒してグリーフシードを」
「違う。そう言うことじゃないの」
杏子の言葉に、首を振って否定するさやか。
だがそれは、言葉だけでなく自分自身すらも含めた否定にも見える。
「こっちよ」
「杏子ちゃん!!」
「どうしたさやかちゃん!!」
と、そこに翼刀と映司をつれてほむらがやってきた。
そちらに目を向けるさやかだが、特に感情の抑揚はなく「そこにいる」ということだけを認識しただけだった。
そしてさやかは、杏子にしたのと同じ質問をほむらにも問いかけた。
「転校生・・・あんたは知ってた?魔法少女が――――」
「魔法少女が魂を抜かれた者・・・ということ?」
そしてその答えを、ほむらはあっさりと答えた。
その言葉にほかの三人は驚愕し、さやかはおどける様に少し目を見開いた。
「へぇ・・・・なんだ・・・知ってたんだ・・・・・」
「ほむらちゃん、どういうことだ?」
「魔法少女が・・・・魂を抜かれたって・・・!?」
「どういうことだ、おい!!」
三人の疑問に、ほむらの声と、時折自虐気味にさやかの言葉が答えはじめる。
魔法少女は、魔女と戦う存在だ。
その為に魔法少女に変身し、契約時に発生した固有魔法を用いて魔女と戦うのだ。
だが、契約するのはあくまでも少女たち。
戦いに身を投じるには、その肉体はあまりにも脆く弱い。
キュゥべえ曰く「そんな脆い肉体のまま戦ってなんて、そんなひどいことは言えないよ」
そう。
だから、魔法少女は契約時に魂を抜かれる。
その魂を加工、実体化させ、保有しやすく守りやすい形状にするのだ。
つまり、そうなった瞬間に彼女たちの身体は抜け殻となる。
本体はあくまでもソウルジェムとなるのだから。
肉体で感じる物のすべては、肉体があった頃の影響による錯覚にすぎない。
感じる五感も、高鳴る鼓動も、すべて偽り。
自分だと思っているこの肉体は、この小さな宝石となった自分の操り人形にすぎないのだから。
「じゃあ・・・あたしたちはそろってゾンビにされたようなもんじゃねーか!!」
「そうだよ・・・この体はとっくに死んでるんだ・・・・本当の私は、このちっぽけな青い石なんだ」
そう言って、ソウルジェムを取り出すさやか。
それを見つめ、ポタポタと涙がこぼれてきた。
「私・・・やっと勇気が出たのに・・・・恭介に言えると思ったのに・・・こんな・・・こんな偽物の身体で何ができるっていうのよ・・・」
「さやか・・・・」
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