暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「あんた、知ってた?魔法少女がどういうものかって・・・・」

「は?いまさらそんなことかよ・・・あたしたちは魔女を倒してグリーフシードを」

「違う。そう言うことじゃないの」


杏子の言葉に、首を振って否定するさやか。
だがそれは、言葉だけでなく自分自身すらも含めた否定にも見える。


「こっちよ」

「杏子ちゃん!!」

「どうしたさやかちゃん!!」


と、そこに翼刀と映司をつれてほむらがやってきた。
そちらに目を向けるさやかだが、特に感情の抑揚はなく「そこにいる」ということだけを認識しただけだった。


そしてさやかは、杏子にしたのと同じ質問をほむらにも問いかけた。


「転校生・・・あんたは知ってた?魔法少女が――――」

「魔法少女が魂を抜かれた者・・・ということ?」

そしてその答えを、ほむらはあっさりと答えた。

その言葉にほかの三人は驚愕し、さやかはおどける様に少し目を見開いた。


「へぇ・・・・なんだ・・・知ってたんだ・・・・・」

「ほむらちゃん、どういうことだ?」

「魔法少女が・・・・魂を抜かれたって・・・!?」

「どういうことだ、おい!!」


三人の疑問に、ほむらの声と、時折自虐気味にさやかの言葉が答えはじめる。



魔法少女は、魔女と戦う存在だ。
その為に魔法少女に変身し、契約時に発生した固有魔法を用いて魔女と戦うのだ。

だが、契約するのはあくまでも少女たち。
戦いに身を投じるには、その肉体はあまりにも脆く弱い。


キュゥべえ曰く「そんな脆い肉体のまま戦ってなんて、そんなひどいことは言えないよ」


そう。
だから、魔法少女は契約時に魂を抜かれる。

その魂を加工、実体化させ、保有しやすく守りやすい形状にするのだ。



つまり、そうなった瞬間に彼女たちの身体は抜け殻となる。
本体はあくまでもソウルジェムとなるのだから。

肉体で感じる物のすべては、肉体があった頃の影響による錯覚にすぎない。


感じる五感も、高鳴る鼓動も、すべて偽り。

自分だと思っているこの肉体は、この小さな宝石となった自分の操り人形にすぎないのだから。



「じゃあ・・・あたしたちはそろってゾンビにされたようなもんじゃねーか!!」

「そうだよ・・・この体はとっくに死んでるんだ・・・・本当の私は、このちっぽけな青い石なんだ」

そう言って、ソウルジェムを取り出すさやか。
それを見つめ、ポタポタと涙がこぼれてきた。


「私・・・やっと勇気が出たのに・・・・恭介に言えると思ったのに・・・こんな・・・こんな偽物の身体で何ができるっていうのよ・・・」

「さやか・・・・」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ